つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

読書

『平場の月』(朝倉かすみ・著)

以前話題になっていて気になっていた本『平場の月』(朝倉かすみ・著)を、友人が貸してくれたので読んでみた。 「平場」とは、一般的な場所のことだそうだ。 あらすじ 主人公は50歳の青砥健将と須藤葉子。 作品舞台は埼玉県西部の朝霞で、二人は中学時代3年…

『366日絵のなかの部屋をめぐる旅』海野弘(解説・監修)

今週のお題「読書の秋」 「芸術の秋」でもありますね! 元々部屋やインテリアに興味があったので、図書館の新着図書にあったこちらの本を予約して読んでみました。 『366日絵のなかの部屋をめぐる旅』海野弘(解説・監修 ) 出版社・パイインターナショナル…

きみの町に星をみているねこはいないかい?

先週土曜は、3か月ぶりに再開した図書館での読み聞かせ担当日でした。 今回読んだ絵本は、 えびなみつる作『きみの町に星をみているねこはいないかい?』(架空社) ページをめくる度にクスクス笑えるウイットに富んだ絵本です。 天文台に勤務している博士と…

『法華経:誰でもブッダになれる』(植木雅俊・著)

普段、お墓参りや葬儀・法事などでお寺に出向いたり、仏像を見るのは好きでも、仏教そのものについては詳しくない私。 図書館の新刊で、『般若心経』と並んで日本人に馴染みのある経典『法華経』についての本があったのでリクエストして読んでみました。 『…

最近読んでみた心が軽くなる本~『しない。』『相談の森』

例年と違って9月に入ったとたん涼しいというか肌寒いくらいの陽気が続いている。 拍子抜けしたように一気に気温が下がり体は楽だけれど、急にパタッと夏が終わったようで寂しい気持ちにかられた。来週はまた暑さが戻るらしいけれど。 子供の頃は夏休みが終わ…

じっと手を見る。

『じっと手を見る』(窪美澄・著)を読んでみた。 物語は、山梨県の富士山を望む町で暮らす介護士の日奈を中心に描かれている。 同じく介護士で日奈の元彼氏でもある海斗、その町に介護福祉学校のパンフレットを制作するために取材でやって来た、東京のデザ…

『雨降る森の犬』(馳星周・著)を読んでみました。

主人公は、父親を病で亡くし、母親との確執を抱えた中学生の広末雨音。 不登校になった雨音は、長野の立科町に住む山岳写真家の叔父、道夫と一緒にその山荘で一緒に暮らすことになる。 道夫は愛犬のワルテルを飼っている。(表紙のようなバーニーズ・マウン…

いつもの月曜日のこと~哲学と瞑想と犬の話

いつもの月曜日、午前中は日本語教室のボランティアで、午後からはその近くで数時間バイトのシフトが入っています。 日本語教室では、アメリカ人のミンディさんという方を担当しています。 このところずっと、昨年頂いたミンディさんが出版されたプラトン哲…

『お探し物は図書室まで』(青山美智子・著)を読んでみました。

図書館などで借りた本ならば返す期限があるので、読み進めるのにエンジンがかかるのだけど、購入した本は、他の用事にかまけて読むのがつい後回しになってしまう。 テレビで録画した映画などもそうだ。 いつでも観られると思うと、なかなか観ずに録画したま…

『羊は安らかに草を食み』(宇佐美まこと・著)

今年1月に刊行された小説。図書館でリクエスト予約して読んでみた。 俳句教室で知り合った86歳の益恵、80歳のアイ、77歳の富士子は、20年来の仲良し三人組だ。 益恵は認知症が進んでしまい、益恵の夫・三千男は妻を施設に入れることを決意する。その前に、益…

『森へ行きましょう』(川上弘美・著)

タイトルに惹かれ図書館で借りた、昨年12月に刊行された文庫本。 このタイトルは、著者の川上さんと以前から知り合いだった、歌手・浜田真理子さんの曲のタイトルから付けたのだそう。後書きはその浜田真理子さん。 「森へ行きましょう~娘さん、アハハ…」と…

『人生のレシピ―哲学の扉の向こう』(神崎繁・著)

「太った豚よりも、痩せたソクラテスであれ、というけれど……、あれ、ソクラテスって太ってなかったっけ?」 哲学者・神崎繁が残した知的ユーモアあふれるエッセイ集。 (神崎繁さんは2016年に63歳で病死されたそうです。) 目次は、「人生のレシピ」「古代を…

『村上T (僕の愛したTシャツたち)』『一人称単数』(村上春樹・著)& Gorillaz

『ポパイ』に2018年8月号~2020年1月号まで連載されたエッセイをまとめ、昨年6月に刊行された作品。 ロックT /レコード系/マラソン完走Tシャツ/企業もの/ビール関係/ノヴェルティ……。村上春樹の段ボールで積みあがった膨大なTシャツコレクションをもとに、Tシ…

「柔軟さの獲得が、大人になるということ。」

昔私は、一人で映画館で映画を観ることはほとんどなかった。 一人で観に行くのは寂しかったし、誰かと一緒だと観た後作品の感想を色々語り合えるのが楽しかったのもあり。 感想を語り合えて楽しいのは今も同じだけれど、昔と違い、今は一人で観る時の方がず…

『さざなみのよる』(木皿泉・著)~ドラマ『富士ファミリー』の前日譚

今週のお題「もう一度見たいドラマ」 帯に「書店員が選ぶ泣ける小説第一位!」とあった、木皿泉・著『さざなみのよる』を読んでみた。 確かに、物語ラストに近づくにつれて涙腺が緩みっぱなしで、その辺りを通院している歯医者の待合室で読んだので、その後…

『希林のコトダマ』(椎根和・著)他を読んでみました。

先週末、「ブログを開設してから2年が経ちました。」とはてなブログから連絡が来ていました。 2年前に開設してからほぼ週1ペースの更新ですが、訪れて下さる皆さん、いつもありがとうございます! これからも、マイペースで続けていけたらと思っています。…

『水を縫う』(寺地はるな・著)

ブログには書かなかったけど、今年初めに読んだ『ビオレタ』以来久しぶりに読んでみた寺地はるなの作品は、今年5月に刊行された『水を縫う』。 図書館にリクエストしてから約3か月程待ちやっと順番が回って来た。 今回も著者の多くの作品と同じく、家族物で…

短編ベストコレクション・現代の小説2020(徳間文庫)

2019年に、小説や出版社のPR誌、Webサイト等に発表された数多くの短編小説から 選び抜かれた年間最優秀作のアンソロジー作品。 先月、図書館で借りた本。小説はつい好みの作家を選んでしまいがちだけれど、普段読んだことのない様々な作家の名も並んでいた…

ミンディさんとデーケンさんと哲学の話。

ミンディさんとは、所属している外国人に日本語を教えるボランティアで、昨年初め頃から私が担当しているアメリカ人女性です。 ミシガン州出身で、20年以上前にイングリッシュ・スクールの教師として来日し、そこで知り合った日本人男性と結婚して、現在小学…

『こんぱるいろ、彼方』椰月美智子・著

主人公はスーパーで総菜を作るパートをしている主婦の真衣子。 会社員の夫と正義感強くはっきりものを言う大学生の娘、反抗期真っ只中の中学3年の息子との4人暮らしだ。 ある日、娘の奈月が大学の友人と3人で初めての海外旅行の計画を立て、その行先がベト…

絲山秋子・著『御社のチャラ男』

1月末頃図書館にリクエストした新刊小説だけど、図書館がずっと休みだったので 先月末に用意出来たと連絡が来た時は、何をリクエストしたのかすっかり忘れていた。 つべこべ言うなら自分で購入したまえ。 はい、すみません。 (本文内容に触れているので、読…

『ウランバーナの森』(奥田英朗・著)~ジョン・レノンひと夏のファンタジー

奥田英朗の小説は、『イン・ザ・プール』を読んでからファンになり、その続編で直木賞を受賞した、精神科医・伊良部シリーズの『空中ブランコ』、元活動家の両親と一緒に沖縄に移住する少年の視点から描いた『サウスバウンド』、家族をテーマにした短編集『…

『ライオンのおやつ』(小川糸・著)~思い出のおやつとは。

余命を告げられた海野雫は、残りの日々を瀬戸内の島のホスピスで過ごすことに決めた。そこでは毎週日曜日、入居者がもう一度食べたい思い出のおやつをリクエスト出来る「おやつの時間」があった。 (小説の帯文より) この小説を読んでみようと思ったきっか…

小説『マチネの終わりに』(平野啓一郎・著)

昨年映画公開時に観た映画、『マチネの終わりに』の原作を読んでみた。 天才クラシックギタリスト・蒔野聡史と、国際ジャーナリスト・小峰洋子。二人の恋の行方を軸に、芸術と生活、父と娘、グローバリズム、生と死などのテーマが重層的に描かれている。(文…

最近家で見た映画と、これから見てみたい無料動画配信など。

今日はあいにくの天気だけれど、温暖化のせいかここ何年かは葉桜になったなと思ったら、ツツジの花も一斉に咲き誇ってきて鮮やかだ。 映画館には滅多に行けなかった子育て中は、頻繁にレンタルで借りていたけれど、元々家では集中して映画を見られないタイプ…

『運命を拓く』『あちらにいる鬼』~ブログ仲間のオススメ本。

こんばんは! 今日は、はてなブログ仲間が以前紹介されていた本を読んでみた感想を二つほど。 先ずは昨年lunaさんがブログで紹介されていた、中村天風・著『運命を拓く』。 日露戦争に諜報員として満州の野で死線をかいくぐり、奔馬性結核で死に魅入られ、東…

『君がいないと小説は書けない』白石一文・著

(記録として書いているので、内容部分含んでます。) この小説のタイトルと、新刊書評を読んで「圧倒的な人生哲学」という部分に惹かれ、図書館にリクエストして読んだ小説。 1月末に刊行されたばかりで、早く予約の順番が回って来たので真新しく気持ちよく…

芥川龍之介のパロディ風『桃太郎』が面白い!

絵本の読み聞かせ仲間から誘われていた、朗読講習会に先日行ってみた。 今は芥川龍之介の『桃太郎』を教材にやっているとのことで、この作品は、朗読動画で聞け、ネットの「青空文庫」で読めるので、事前に予習して来てとの連絡があり読んでみた。 この芥川…

『ノスタルジー 1972 』を読んでみた。

1972年に起きた、社会的ニュースを背景に盛り込まれた6人の作家による短編集。 1972年というと、私はまだ生まれていない。 というは嘘だけれど、そこに挙げられたニュースだけを拾ってみても、1972年という時代が様々な印象深い出来事があった年だったのだと…

藤野可織・著『私は幽霊を見ない』からの、よもやま話。

書評を読んで面白そうだと思い、図書館にリクエストして読んでみた。 著者である藤野可織さんの芥川賞受賞作『爪と目』はまだ未読だけど。 著者が周りの友人や関係者から聴いて、幽霊目撃談や不思議な話を集めたエッセイ。 藤野さんご自身は、幽霊が見える体…