つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

『366日絵のなかの部屋をめぐる旅』海野弘(解説・監修)

今週のお題「読書の秋」

「芸術の秋」でもありますね!

元々部屋やインテリアに興味があったので、図書館の新着図書にあったこちらの本を予約して読んでみました。

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『366日絵のなかの部屋をめぐる旅』海野弘(解説・監修 )

出版社・パイインターナショナル(2021/7/28)

 

ルノワールゴッホフェルメール、マネ、マティスドガなどの名だたる画家たちから、知られざる画家の名作まで、その366点の美しい室内画の数々を紹介しています。日本生まれでフランスの画家である、藤田嗣治の作品も多数収めらていました。

美術館で見たことがある絵画から、全く知らなかった作品もたくさんありました。

誰もいない部屋の扉の奥にまた扉が無限に続くような、静謐なハマスホイ絵の数々も。

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(昨年春頃のブログに紹介したこちらのチラシの絵です。その頃開催されたハマスホイの美術展は見に行けなかったので残念でした。)

 

1月1日から始まり、12月の終わりまで1日1作品1ページ毎に、1年分+αの366日分の名画を海野弘さんの解説と共に紹介しています。

なので、構成がまるで誕生日占いの本のようです。

1月の自分の誕生日の絵は、デンマークの画家クレステン・ダルスゴーの「彼は本当に来るかしら?」というタイトル。

女性が部屋の裏口から外を眺め、待ち人を心待ちにしている様子が描かれています。

こちらも初めて見た絵ですが、裏口から外を覗いている女性の背景に見える外の明るい景色。その景色の全容を、絵の中へ入り、女性のそばをすり抜けて見てみたくなります。自分の誕生日が心惹かれるこの作品で嬉しい気分でした。

 

1月の「入口・玄関・戸口」に始まり、リビングルームダイニングルーム、書斎、アトリエ、寝室、窓辺の風景等など、それぞれの月ごとに大きく12章のテーマに分かれています。

各作品について、海野弘さんの分かりやすく簡潔な解説がまた楽しく、絵画の見方も勉強になります。

どの絵もクラシックな時が流れ続けているようで、その時代のインテリア、人々の暮らしなどが伺い知ることができて興味深いです。

海野弘さんが、

「家は滅びてしまっても、それを描いた絵は、その部屋の記憶を伝え、私たちがかつてそこにいたように、夢想させてくれるのだ。」

と解説で言われているように、まるで自分がその場にいたかのような気分になれます。

同じ様に、美術館などで絵画を見る時、その絵を前にして画家が見ている風景や情景を自分も時空を超えて一緒に見ているような感覚になり、それが自分にとって絵を見るときの楽しさでもあります。

 

様々な室内画の中で特に、イギリスの伝統的なライフスタイルが伝わってくる作品に魅力を感じました。

重厚な室内の暗い階段の壁に、そこだけ明るい日差しが差し込んでいる、そのコントラストが際立っている配色の絵などにも惹かれました。

19世紀のイギリス、アンティーク陶器店の店内の様子は、まるでハリーポッターに出て来る、魔法の道具を売っているような雰囲気でした。

解説によると、家具の歴史は1600年が出発点であり、1500年以前ヨーロッパ人は、椅子もほとんど見たことがなかったそうです。

 

知らなかった作品の中で、特に気に入ったのはこの2作品。

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左側は、1887年デンマークの画家ピーダ・イルステズの『偶然の訪問』という作品。

この画家は、同じくデンマークハマスホイの義理の兄弟だそうで、クールな作品のハマスホイに対し、家庭の温かさを多く描いた画家だそうです。

模様がある青い壁紙や部屋のインテリアにも目を引かれますが、描かれている若者や女性の生き生きとした表情やその視線から、感情までも伝わってくるところが凄いなと感じました。

右側は1880年イギリスのチャールズ・ルイスの『窓辺の読書』。

洒落たデザインの出窓の前で、読書をする少女の傍らにちょこんと座っている犬。窓の外の景色は海とヨット。透けたレースのカーテンの質感など、色彩がとても綺麗で見入ってしまいました。

いかにも裕福そうな家ですが、こんな窓辺で優雅な気分で読書をしてみたいものです。

 

1860年代、アンドレ・アンリ・ダルジェラというフランスの画家の『世界中を巡って』という小学校の教室での1場面を描いた作品も、その時代の教室の様子が描かれていて興味深かったです。先生が不在の間、天井からぶら下がった大きな地球儀の上に乗ったわんぱくな子供達が生き生きと描かれています。

 

まさに世界中の部屋から部屋へと旅をしている気分にさせてくれる、夢のある一冊でした。

この書籍の中にはドガの『バレエのレッスン』もありました。

子供のころから憧れていたバレエを40代に数年間習っていたこともあり、私もこの絵は大好きです。元々、飛んだり跳ねたりのダンス系が好きで高校時代から色々やってはいたので。

なので最後に、今回はこの美術書にも合うような優雅なバレエ音楽をUP( ´艸`)

昔から特に好きだったこの2曲が流れると、簡単な中高年向けバレエレッスンでも心躍りテンションが上がったのを思い出します♪

youtu.be

チャイコフスキー組曲「眠れる森の美女」よりワルツ。)

 

youtu.be

プロコフィエフバレエ音楽ロミオとジュリエット」第2組曲・モンタギュー家とキャピュレット家。)

 

同じ著者の『366日風景画をめぐる旅』も出版されているようなので、今度はこちらの風景画の方も味わってみたいと思います(^^)/