つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

「柔軟さの獲得が、大人になるということ。」

 

昔私は、一人で映画館で映画を観ることはほとんどなかった。

 

一人で観に行くのは寂しかったし、誰かと一緒だと観た後作品の感想を色々語り合えるのが楽しかったのもあり。

 

感想を語り合えて楽しいのは今も同じだけれど、昔と違い、今は一人で観る時の方がずっと多い。一人だと自分の予定や作品の好みに合わせて気軽に行けるので。

 

昔『ベルリン・天使の詩』が公開された時に、友人を誘って一緒に観に行った時、その友達には退屈な内容だった様で、途中から隣でずっと寝息を立てていて、誘ってしまって申し訳なかったなぁと思ったのを憶えている。

 

ところで、やはりかなり前に、子供のPTAの役員で知り合った友達が同じく映画好きだったので、彼女が運転する車に乗せてもらい何度か一緒に映画を観に行ったことがある。

 その友達は、実家の親と同居している大家族だったので、一人になりたい時はいつも車を飛ばして映画館へ行くのだと言っていた。

 

当時滅多に一人で映画館に行かなかった私に比べて、いやぁ大人だなぁと思ったものだ。

 

私は車の運転が出来ないけれど、彼女は普段からバンバン運転していて、日帰りでぶらっと長野の戸隠までお蕎麦を食べに行ったこともあるというのを聞いて、その行動力に驚いたこともあった。

 

その頃一緒に観た作品で覚えているのは間宮兄弟

佐々木蔵之介とお笑いの塚地武雅主演で、仲良しの独身兄弟の日常を描いたほのぼのとした面白い作品だった。

 

いつも一人で映画を観に行くその友達に影響され、私もその後一人で観に行って、映画が始まる前その友達に、

「今、一人で映画館に来ています。」とメールを送ったら、すかさず、

「大人になったね!」との返事が返って来たのが面白かった。

 

なので、今でも「大人になる」というフレーズを聞くと、その時のことがその映画館と共に懐かしく思い出される。

まだ地元駅にも隣の駅にも、映画館があった時だったので。

 

今週のお題「大人になったなと感じるとき」

 

 今週「成人の日」だったからこのお題だったようだ。

「成人」と打ち込んだら、最初「星人」と変換されたので、思わず宇宙から地球上にいる人間を俯瞰して見ている気分になった。大きな意味では自分も地球という星の宇宙人(^^ゞ

 

 ところで、今図書館から借りている木皿泉さんのエッセイに、「大人になる」ということについての一節が出て来た。

 

f:id:tsuruhime-beat:20210116175950j:plain

 

『木皿食堂②/6粒と半分のお米』

私達は物語をつくる。また明日も生きてみようって、思ってもらえるように。

夫婦ユニットの脚本家、そして小説家。物語を何より信頼している二人が、日々の生活の中で紡ぐコトバの数々…。

 (裏表紙より抜粋)

 

 木皿さんの知人である、一人暮らしを始めたばかりの24歳の青年がたまに実家に帰ると、その母親は毎回息子用に夕食時、矯正箸を出すというエピソードの中で、

 

「どんな母親も子供をきちんと育て、世に出さなければという目に見えないプレッシャーを世間(主にテレビ)からかけられている。」

 でも、

「箸の使い方を知らなくても、その子供は死んだり道を外したりすることはないが、人間には弾力があるということを知らないと、簡単にポキッと折れてしまう。

柔軟さの獲得こそが大人になるということだ。」

 

という一節に激しく同意してしまった。そして、

「子供が最も知りたいと思っているのは、嫌なことをどうやってやり過ごしてゆくとかの長い人生を乗り切る上で、その人が培ってきたノウハウのようなものではないか。」と書かれていた。

 

子供には、「親の自慢話より失敗談を」とよく聞くけれど、私も子育て中、自分の数限りなくあった失敗談とか色々話して聞かせて来ただろうか。今となってはそれもあまり思い出せないけれど。

 

「嫌な事をやり過ごす」といえば、

私が中学生の頃から学校に行きたくない日、学校で一日やり過ごすコツとして、好きな映画の主人公になった気分で一日過ごしてみるということを実行していた。

気持ちだけはその主人公になった気分でいると、何故かその気になり少しは楽しい気分になれた。

 

高校に入って1年のある日、クラスメイトで別グループの女子から、ビートルズのレコードを聴かせてと、急にその子の家に誘われたことがある。

LPを持参して一緒に聴いていたら、その子から急に悩みを打ち明けられた。

 

それは、高校に入学してから学校が嫌で嫌で毎日死にたいと思っていたという内容だった。

その子は私なんかよりずっと可愛かったし、明るく仲良しの友達もいたし、家族仲も良さそうだったのに、何故そう思うのか。

人は見た目からは心の中までは分からないものだとつくづく感じた。

 

その時、私も特に中学時代学校に行きたくなかった事やその時にやっていた、映画の主人公になってやり過ごすという方法も話したのだった。

その子も映画好きだったので、それから安い名画座ビートルズ含め一緒に色々映画を観に行ったっけ。2年では別々のクラスになってしまったけれど。

 

大人も子供も人間みな、風が吹いてしなっても折れない竹のような、弾力や柔軟さを心に持ち合わせて生きて行けたらいいなぁ。そしてそれが大人になるっていうことなのかな、とこのエッセイを読んでふと思った。

 

☆ ☆ ☆

映画といえば先日ブログ仲間のユラさんが、好きな映画で使われていたというデヴィッド・ボウイの曲 Space Oddity をUPされていた。

私が以前観た映画『LIFE!』でも、この曲は一番印象的だったシーンで使われていて、その後youtubeから何回も観た大好きな場面なので、最後に映画繋がりでUPします。

 

youtu.be

 この曲と共に、主人公がヘリコプターに乗り込み空に舞い上がるシーン、大きなスクリーンで観てワクワクしたなぁ♪