つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

『村上T (僕の愛したTシャツたち)』『一人称単数』(村上春樹・著)& Gorillaz

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 『ポパイ』に2018年8月号~2020年1月号まで連載されたエッセイをまとめ、昨年6月に刊行された作品。

ロックT /レコード系/マラソン完走Tシャツ/企業もの/ビール関係/ノヴェルティ……。村上春樹の段ボールで積みあがった膨大なTシャツコレクションをもとに、Tシャツをめぐる18篇のエピソードと108枚のお気に入りTシャツを掲載。

 

  様々なTシャツコレクションの写真も興味深く、気軽にサクサク読めるエッセイだった。

 聴ききれないほどのLPレコードや本など、著者がつい収集してしまうものの中に、膨大な量のTシャツもあるそうだ。

 

その中でも著者が一番大切にしているのは、短篇『トニー滝谷』が出来るきっかけとなった黄色い「TONY TAKITANI」Tシャツだそうで、そのエピソードが面白かった。

 

ハワイ・マウイ島で、僅か1ドルで買ったこのTシャツがきっかけで小説が生まれ、その後映画化もされ、後日、本物のトニー滝谷にも会ったという。

映画の方は観ていないけど、この短篇が収録されている「レキシントンの幽霊」は、以前読んだことがあり内容も面白かった覚えがある。

 

このTシャツを買ったことは「たった1ドルでも、今までの人生の中で最良の投資だった。」そうだ。

Tシャツに書かれた名前から想像を巡らせ、小説が出来てしまうなんて凄い。

 

スペインの出版社が作ったというTシャツ、「KEEP CALM and READ MURAKAMI(気持ちを落ち着けて村上を読もう)」という言葉も印象的だった。

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 Keep calm and carry on (平静を保ち、普段の生活を続けよう)というのは、元々は、パニックを防ぎ人心を落ち着かせるために、英国情報省が作ったポスター文句だそうで、近年広く人気を呼んでいるのだそうだ。

この部分を読んだ誰もが、今この時にぴったりだと感じたんじゃないかな。

 

 また何気ない文章の中でハッとしたのは、村上さんがアメリカへ行くと、先ずは必ず食べたくなるというハンバーガーのことが書かれていたくだりで、

まわりの人々のざわめきや皿やグラスの触れ合う音を聞き、異国の空気を吸い込みながら、チーズバーガーが運ばれて来るのを待つ時間。

そこでようやくまたアメリカに来たんだという実感が湧いてくる。

という箇所。

 

アメリカ大陸には行ったことがないけれど、この部分を読んで、自分がもし今後行ける機会があったら、私も街角で飲んだことのないクアーズライトの生と共にハンバーガーを食べてみたいと思ったし、

「人々のざわめきや皿やグラスが触れ合う音」は、国内旅行でも、訪れた場所場所でその空気感と共に、私も耳にしたい心地よい音だなぁと改めて感じた。

 特に匂いは、その地に訪れてこそ体感出来る感覚であるし。

 

 

私も購入する衣服の中で、Tシャツの数が断然多い。普段着でももちろんのこと、ドラムの前やっていたダンス関係でも、ドラム演奏時でもTシャツが一番便利なので。

 

Tシャツって、1シーズン限りの消耗品ってイメージが強いけれど、私もお気に入りのTシャツは長く大切に使っている。

 

好きなミュージシャンの来日公演時にも記念によく購入していた。

でもそういう時のTシャツって結構高いので、最近ではよほど気に入ったデザインでない限りは買わなくなってきたけれど。何しろ海外のアーティストはチケット代だけでも年々高額になって来ているので。

 

ドラムを始めてからは、よりビートルズTシャツに目が行くようになった。バンドでお揃いのTシャツにしてみたり。

 

村上さんはロックTシャツは購入しても、ほとんど着たことがないそうだけど、私もお気に入りのアーティストのTシャツでも、顔がそのままアップになっているのは、着るのにちょっと抵抗があるので購入したことがない。

 

でも海外旅行の時などは、目立つロックTシャツなどを着ていたほうが、現地の人と交流のきっかけになるかもと思ったりした。

 

 村上春樹の小説にはよくビートルズの曲名も登場するけれど、このエッセイでも、水泳が好きで長距離を泳いでいるとハイな気分になり、泳ぎながらつい「イエロー・サブマリン」をぶくぶくしながら歌っているとあった。

 

著者が得意なマラソンや水泳の話が出て来ると、自分は苦手なので羨ましく、ランナーズハイやスイミングハイという気分を味わってみたくなる。

 

 

 このエッセイは昨年図書館にリクエストして最近読んだ本だけれど、やはり著者の短篇集である『一人称単数』は、昨年刊行された時に購入して読んでみた。

 

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ブログには借りた本を備忘録として優先して書いておくことが多く、でも同じ著者だし、『一人称単数』も一緒に、ネタバレにならない程度に簡単な感想を。

 

 短編集『一人称単数』は、どの話も村上さんの自伝的回想のような形の物語で、実体験も多く含まれているのではと感じた。

 

目次のタイトルを見て真っ先に読んでみたのは、ビートルズのアルバムと同じタイトルの『ウィズ・ザ・ビートルズ』。ビートルズの曲は物語の時代背景として描写されていて、主人公の高校時代を回想した物語。

主人公の心に強く焼き付かれた忘れがたい情景って、かつて自分にも(きっと誰にでも)あったのを思い起こさせてくれるような物語だった。

 

一番心に残ったのが『チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ。ストーリー的にも一番面白かった。特に、夢の中でチャーリーがアルトサックスを演奏する場面なんて、その深みのある音色と共に、脳裏にその映像がありありと浮かんで来るようだった。

 

品川猿の告白』も、敬語を使う猿の一風変わった話で面白かったな。将来自分がもし認知症になり、自分の名前を思い出せなくなったら、品川猿に名前を盗まれたってことにしちゃおう(笑)

 

 

ところで、村上春樹さんはジャズ始め、色々なジャンルの音楽を幅広く聴かれるようだけど、Gorillazゴリラズ)も好きだと何かで読んだことがある。

 

Gorillazとは、イギリスのロックバンド、Blurのヴォーカル、デーモン・アルバーンが作った多国籍メンバーによるバーチャル覆面音楽ユニットで、メンバーのギタリストは大阪出身の日本人らしい。

2017年にはフジロックに出演したそうで、観に行きたかったなぁ。

ブラーは『テンダー』他何曲か好きな曲があり、その繋がりで私はGorillazも知ったのだけど、村上さんも好きだと知って、おお!と思った。

 

と言っても私が以前から主に聴いているのは、『プラスティック・ビーチ』というアルバムに入っているこの『On MelanCholy Hill』だけなのだけど。

 

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初めて聴いた時に、この脱力系の親しみやすいメロディといい、何かとってもいいなぁと惚れ込んだ曲だ。

 村上さんもこの曲も好きだといいな♪

 

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ゴリラズの、このTシャツも着てみたい♪

 

 

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(今月頂き物で「花のカタチの入浴剤」をもらいました。インテリアとしてほのかな石鹸の香りを楽しんだり、花びらが入浴剤にもなるそうです。)

 

以上になります(^^)/