「弱さ」とは克服するものではなく、「幸せへの第一歩」
ホスピス医である小澤竹俊氏は、これまで3800人以上の患者さんを看取って来たそうだ。
以前から気になっていた、著者の『今日が人生最後の日だと思って生きなさい』はまだ未読だけど、この本は図書館の新着図書にあり、予約して昨年11月に読んでみた。
記憶しておきたい言葉をざっと下書きに入れておき、いざブログに書こうと思うと、どこまで引用していいものやら迷ってしまい。
小澤氏は若い頃、治る見込みのない高校生の患者さんに対して、自分がかける言葉は全部嘘になるような気がして、苦しみ葛藤したことが忘れられないそうだ。
その一方、ホスピスではたくさんの奇蹟も目撃されてきた。
究極の苦しみ、弱さの中で、患者自身が本当の自分らしさを取り戻し、強く生きていく姿を目にしてきたそうだ。
そうした現場で学ばれた経験をもとに書かれているので、いざ、自分や周囲がそうなったときの心の持ちよう、心構えとしても、また単に悩みを抱えているときでも、大いに役立ちそうな教えばかりだった。
目次を読むだけでも励まされる気がする。
第1章 あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる
第2章 わかってくれる人がいると強く生きられる
第3章 何を選ぶかで、人生は決まる
第4章 今日の自分に後悔せずに生きる
(以下、覚えておきたいことを備忘録として抜粋しておきます。)
死が目前に迫ってきたとき、強かったり多くのものを所有してきた人ほど、苦しみが大きくなり、何も出来ない今の自分を責めるようになる。
でも、弱くなったときほど、その人の本当の強さが現れる。
人生最大の苦しみを味わうなかで、少しずつ変わっていく。
元気だった人が弱さを得て、自分を分かってくれる存在、自分を支えてくれる存在に気づき感謝し、人生の本当の意味をみつけていく。
大切な人が悩み苦しんでいるとき、支えになるための方法
苦しんでいる人の話を聞く時は、反復と沈黙を繰り返す。
アドバイスも励ましも要らない。
それにより信頼関係が生まれ、本人の心が整理でき、自身の本音に気付く。
苦しみには、解決できるものと解決できないものがある。
希望と現実のギャップを埋めることができれば、苦しみは和らぐ。
他者との比較によって感じる幸せではなく、幸せの基準を変えていく。
(例えば「心穏やかにいきること」「人のために自分にできることをする」)
変えられるものと変えられないものを見つけ、変えられるものを勇気を持って変えていく。
変えられるものを知り、勇気を持って変えていけば、あなたの苦しみは半分になるかも知れず、しかもそれは、あなたに究極の幸せを与えてくれるはず。
自分の弱さから逃げない。そうすれば、生きる勇気がわいてくる。
あなたを大事にしてくれない人、苦手な人とは、距離をとっても良い。
何を選べばよいか迷ったら、最後は自分の体の声をきく
体は、自分に必要なものをちゃんとわかっている。
「この一か月で一番美味しかったものは何か?または一番楽しかったことは?」
頭で考えるのではなく、体が感じたものを選ぶ。
それを何度か繰り返すと、体の感覚に敏感になり、体から発するサインに敏感になる。
体の声を聴けるようになったら、人生での迷いや選択で、自分にとって大事なものを確認したいときに、自分自身に確認してみて。
また、今は何もしたくない、考えたくないとの思いは、心と体のエネルギー切れの状態。一度現実から離れ、自分を安心した場所に置くこと。
物理的移動でもいいし、過去を振り返り、楽しかったこと、一緒にいて落ち着く人、穏やかになれる場所を思い浮かべるだけでもいい。
人は一人では弱いから支え合って生きていく
「支えてくれた存在などいない」と思っている人ほど苦しみを抱えやすい。
人は解決できない苦しみを抱えていても、自分を支えてくれる存在、自分が大切にしているものをゆだねられる存在に気づくことで、心の穏やかさや前向きに生きる力を得ることができる。
そんな人もいないと感じたら、誰なら自分が大切にしていることをゆだねられるか考えてみる。
人は、ただ存在するだけで価値があり、
その人が生きている、今日という何気ない一日に意味がある。
自分の尊厳を守るために、自分自身をいたわろう。
大事な人をいたわるように、自分自身をいたわる。
「セルフ・コンパッション」
「セルフ・コンパッション」とは、「自分自身への思いやり」。
ストレスや苦しみを抱えながらも、自分自身を慈しみ、前向きにな気持ちを維持すること、及びその方法。
コロナ禍から益々この方法による、ストレス軽減に注目が集まっている。
弱い自分を責めるのではなく、丸ごと受け入れるのがセルフ・コンパッション。
それには以下の方法が有効。
「デグニティ・セラピー」
「デグニティ・セラピー」とは、カナダの精神科医チョチノフ医師によって考案された、
「人生の中で最も大切だと考えている出来事は?」
「大切な人に伝えておきたい言葉は?」
といった9つ質問に答えるセラピーのこと。
これは、人生の終末期を迎えた人だけではなく、大きな苦しみを抱えている人、自分や自分の人生を肯定できない人にも、気づきと生きる力を与えてくれるもの。
辛くなったら、同じ悩みを抱えている人に会いにいこう。
そして苦しみを分かち合い、理解してもらえることが支えになる。
次は自分が支える側に回ることで、支え合いの輪が広がっていく。
死は私たちを有限から無限の存在に変える。
私たちがこの世を去った後、あなたの言葉や想い、人生を通して学んだこと、教訓、作品などは、必ず誰かが受け取ってくれる。
その誰かは直系の子孫とは限らず、文化として受け継がれていくこともある。
本当の自分らしさを見つけ、後悔のないよう、今日という一日を生きていく。
この世を去る時に、自分自身に対して「お疲れ様」でしたと思えるように。
*
とりわけ最終章は、読んでいて涙が出てくるほど心に響きました。
「人はただ存在しているだけで価値がある」
「今日という何気ない一日にも意味がある」という言葉や、
頭でではなく、体の声が聞けようにすることが大切ということも、とても参考になり共感しました。
選択に迷った場合、脳ではなく心の声に正直にと、以前からよく聞くので。
私も年々、自分の人生の終わりから振り返って、今の自分を考えるようになってきました。
以上のこと以外にも、もっともっと覚えておきたい事柄がたくさん書かれていたので、興味がある方は是非読まれてみて下さい!(^o^)丿