映画『月の満ち欠け』
今月の三連休中、バンド練習後、上野のTOHOシネマズで観ようと思ったのだけど、休日だったせいかほぼ満席で、一番前しか空いてなく断念。もう1日1回しか上映していない映画館が多かった。
なので先週、久々に春日部の映画館で観てきたゾ!ほほ~い。
こちらの映画館では、先月『ある男』を観たいと思っていたけれど、それももう終了していて残念。
仕事も家庭も順調だった⼩⼭内堅(⼤泉洋)の⽇常は、愛する妻・梢(柴咲コウ)と娘・瑠璃のふたりを不慮の事故で同時に失ったことで⼀変。
深い悲しみに沈む⼩⼭内のもとに、三⾓哲彦と名乗る男(⽬⿊蓮)が訪ねてくる。
事故に遭った⽇、⼩⼭内の娘が⾯識のないはずの⾃分に会いに来ようとしていたこと、そして彼⼥は、かつて⾃分が狂おしいほどに愛した“瑠璃”という⼥性(有村架純)の⽣まれ変わりだったのではないか、と告げる。
(あらすじは公式サイトより抜粋)
生まれ変わりの話で、過去と現在が交差しながら物語は進んでいった。
小山内家の父親役・堅を演じた大泉洋をはじめ、主だった俳優陣の迫真の演技に始終引き込まれ、最後まで見入ってしまった。
特に、大泉洋の演技には心揺さぶられる場面が多々あって。
愛する家族との場面は、大泉さんの素の部分が自然に滲み出ているようで、温かい人柄がよく伝わって来た。
終盤、妻・梢(柴咲コウ)が、夫と出会った頃の、夫に対する自身の秘めたる思いを語る場面があり、それを夫が知る場面も何とも切なかった。
小山内夫妻の娘・瑠璃の前世である、正木瑠璃を演じた有村架純も、その儚げな美しさかれんさが際立っていた。
その瑠璃に恋する大学生・三⾓哲彦(⽬⿊蓮)との、2人の場面も素敵だった。
ところで、この映画ではジョン・レノンゆかりの曲が2曲登場する。
その一つは「ウーマン」。(「ウーマン」が流れる予告編はこちら↓)
小山内夫妻の結婚シーンや終盤でのクライマックスシーンなど何度か流れ、それぞれの場面に彩を添えていて心に染みた。
それは、ジョンレノンが凶弾に倒れた1980年、街中でジョンの曲が頻繁にかかっていたその頃、小山内夫妻が結婚したから。夫婦の娘である瑠璃はその翌年1981年に生まれる。
一方1980年、有村架純演ずる正木瑠璃は、三⾓哲彦という青年に偶然出会う。
小山内家の家族愛と、正木瑠璃と三⾓哲彦の愛、この両方が作品の軸となっていた。
哲彦の部屋に一緒にいるとき、ラジオからジョンゆかりの曲として、オノ・ヨーコの「リメンバー・ラブ」が流れ、瑠璃(有本架純)は自分がとても好きな曲だと言って、一緒に口ずさむ。
「リメンバー・ラブ」は、1968年に作られたジョン&ヨーコのアルバム、「未完成」作品第1番 トゥー・ヴァージンズに収録されている曲。私は、どこかで聴いた曲だなと思った程度だったけど。
この曲が流れるシーンは、こちら↓
この曲もこの後何度か登場するけれど、観終わった後、頭の中をずっとリフレインしていた。ジョンが亡くなった後、ヨーコさんはジョンを思って、度々この曲を口ずさんだのではないかと想像したり。
昔、生まれ変わりについての書籍も流行っていたけれど、幼い頃は前世を記憶している子でも、年齢と共に忘れてしまうなんて話も聞いたことがある。
私も自分の子供に、前世の兆候が表れていないだろうかと、ちょっと興味を持ったことがあって。
長男は言葉を覚える前に、いつも決まった意味不明の言葉を発していて、これは前世での地球以外の惑星の言葉か、はたまた、前世に住んでいたアマゾン奥地などの言葉なのでは?と思ったり、次男の眉間に生まれつき薄っすらあった赤く小さな痣は、前世で受けた致命傷の痕跡なのでは?とか想像したのを覚えている。
でも、この映画を観て、実際自分の子が前世を覚えていて、しかもその時の恋人や家族に会いたいと思い詰めたら、きっと自分の子供であってもそうでないような、とても複雑で寂しい気分になるんじゃないかと思う。
だから、大泉洋ふんする父親のように、決して信じたくない気持ちになるんじゃなかろうか。
でも、初めて会ったのになぜか懐かしく感じる人って、それは前世で縁があった人だからというのは、何となく信じている。
それにしても、田中圭ふんする正木瑠璃のDV夫は、なぜあんなに易々と輪廻転生を信じていたのか、その点に違和感を覚えた。
古代哲学者のソクラテスやプラトンは、輪廻転生の考えの持ち主だったそうで、「人間の魂は不滅であり永遠であるから、魂はすでにあらゆる知識を持っている。なので知識を探求することは、忘れていたことを想起することにほかならない。」との考えだったそう。こればっかりは、死んでみないとわからないことだけど。('◇')ゞ
この作品を観ながら、似たようなテーマの、1年前に好きだったドラマ『妻小学生になる』(出演・石田ゆり子、堤真一、前田暖乃など)や、今月スタートしたばかりの日曜夜の日テレドラマ、『ブラッシュアップライフ』(主演・安藤サクラ)を思い出したりした。
『ブラッシュアップライフ』は、バカリズムの脚本と、安藤サクラのテンポ良いナレーションが絶妙で本当に面白いドラマなのでオススメであります。
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ドキュメンタリー映画『ジョンレノン 音楽で世界を変えた男の真実』
こちらは、昨年末に観に行ってきた。
その前に観た、同じくドキュメンタリーの『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』と違い、ビートルズの曲が色々流れていたのがとても良かったなぁ。
ジョンの生い立ちから、音楽に影響を与えた出来事を、未公開映像、友人、関係者へのインタビューで深く掘り下げたドキュメンタリー。撮影はリバプール、及びその周辺で行われたそう。
ジョン・レノンの祖父はアイルランドのダブリン生まれ。リバプールにはなぜアイルランドからの移民が多かったのかなど、冒頭リバプールの歴史も盛り込まれ、ジョンが生まれた頃のリバプールの様子なども詳しく描かれていた。
第二次世界大戦当時、リバプールはロンドンに次いで空襲が激しく、多数の死者を出したそうだ。
ジョンが生まれたその日、1940年10月9日もロンドンでは空襲があったけれど、リバプールでの空襲は無かったのだそう。
それは世界の歴史の上でも、自分にとっても、とても幸運なことだと感じた。
父親代わりだった伯父のジョージ、母ジュリア、親友スチュアート・サトクリフの死など、ジョンを形作ったエピソードも年代順に紹介され、その内容の多くは既に知っていたことばかりだったけど、美術学校当時の友人たちが語るジョンのエピソードは、初めて聞く話が多くて興味深かった。
ジョンの母親ジュリアが交通事故で亡くなってしまい、その一報を聞いたときのジョンの様子や、ジュリアが事故に遭ったとき、その場所まで送っていったのが、ジョンの家にたまたま遊びに来たジョンの友人であり、その本人のインタビュー映像は、観ていて身につまされる思いだった。
ジョンの妻シンシアや、ジョンと親友になりバンドにも誘ったスチュアートは、ともに美術学校でも静かな性格で、当時のジョンはその二人のような落ち着いた性格の友達に惹かれていたというのも納得だった。
クラウス・フォアマン(ドイツのミュージシャン・画家で、ビートルズ『リボルバー』のジャケットを制作)の現在の姿もインタビュー映像で久しぶりに観られ、スチュワート・サトクリフの写真も久しぶりに拝め、若き日のこの2人は、ホントかっこよかったなぁと改めて感じた。
ジョンが子供時代遊んだ場所を訪ね歩くシーンなども興味深く、自転車に乗っている少年時代のジョンの写真を映像に挟み込んだり、当時のジョンのことが偲ばれた。
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ところで、YMOのドラマーだった、ミュージシャン高橋幸宏さんの訃報にも驚いた。
来月、友人の女性ユニットの方々に頼まれて、『タイムマシンにお願い』などをライブでやる予定なので、その参考に、サディスティック・ミカ・バンド当時の高橋さんのドラム映像を先日YouTubeで観たばかり。
昔から大好きな曲でもあり、高橋幸宏さんを偲んで、心を込めて頑張ります。