つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

映画『アイ・アム まきもと』~意表を突かれたラストの展開に感動

 

あらすじ・解説

とある市役所で、人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」として働く牧本壮(阿部サダヲ)。空気が読めず人の話を聞かない彼は、故人を思うがあまり周囲を振り回すこともしばしばだった。

そんなある日、おみおくり係の廃止が決定する。孤独に亡くなった老人・蕪木孝一郎(宇崎竜童)の葬儀が最後の仕事となった牧本は、故人の身寄りを探すために友人や知人を訪ね歩き、蕪木の娘・津森塔子(満島ひかり)のもとにたどり着く。

原作はウベルト・パゾリーニ監督による『おみおくりの作法』

監督・水田伸生。主演・阿部サダヲ満島ひかり・宇崎竜童・松下洸平・でんでん・宮沢りえ國村隼らが共演。シネマトゥディ

シネマトゥデイより抜粋)

観に行ってから日にちが経ってしまいましたが、先月smokyさんのブログ感想に、「笑って泣ける映画」とあり、その手の作品は特に好きなので観に行ってきました。

smokyさんの簡潔で、的を射た感想はこちらです↓

水田伸生監督、阿部サダヲ主演『アイ・アムまきもと』を見る(10月10日)。 - かぶとむし日記 (hatenablog.com)

 

本当に観に行って良かったと思える、とてもいい映画でした。

身寄りのない方の孤独死を題材としてるのに、牧本自身どこかコミカルであり、全体的に明るく描かれていて。

物語終盤での意外な展開からは、涙腺緩みっぱなしで、観終わった後もじんわりと温かな余韻に包まれました。

 

孤独死された方の現場に駆け付け、警察から遺体の受け取りを依頼され、葬儀と納骨を行っている牧本。その現場では、臭気を和らげるためのメンソレータムを毎回鼻に塗ってから入る。

その場に足を踏み入れるのに、ためらう様子も見せず、使命感いっぱいのように見え、葬儀も牧本の自費で執り行ったり、今まで見送った故人たちの写真をアルバムに貼って、大切に保管している。

そんな牧本の、死者に敬意を払っているその姿勢には、始終胸打たれました。

葬儀とは、どちらかというと、生きている人のためのものと私は感じていましたが、この作品を見て、もちろん亡くなった人のためでもあるのだなぁと改めて感じ入りました。

 

阿部サダヲ=牧本なんじゃないか?というくらい、役になり切っていたところもさすがだったし、彼と関わることで、周りの人々が変化してくる過程も良かったでした。

周囲の人だけでなく、決められたルーティンで淡々とした毎日を送っていた牧本自身にも、ほのかな恋心が芽生えたり、少しずつ変化が起きていく過程も。

葬儀に参列してもらうため、故人の身内探しに奔走している牧本に、早く遺体を引き取りに来てくれと、イライラし怒鳴っていた警察官・神代(松下洸平)の心も変化していき、ラストではその松下洸平の演技に泣かされました。

 

牧本の、一見無味乾燥に思える規律正しい生活も、穏やかで静かな時間が流れているようで、観ていて心地よい場面でした。

家の中もきちんと整頓されていて、オープンクローゼットには、ダークな背広と白ワイシャツ、黒靴下だけが整然とかけられている。

それゆえに、赤ちゃんを抱っこした時にできた、背広についたヨダレのシミはそのままにしておき、抱いた時の感触を慈しんでいる様子など、牧本自身の心の変化やその優しい心情が伝わってくるようでした。

出演俳優陣もとっても豪華で、人間味あふれるその役柄も心に残りました。

 

この作品を観ながら、もう15年以上前に読んだ、天童荒太『悼む人』を思い出していました。『悼む人』は、当時読んだ天童荒太の作品の中で、『永遠の仔』と並んで忘れがたい作品。

不慮の事故などで亡くなった人々を悼むため、全国のその場所に赴く青年が主人公で、赤の他人の死を真摯に悼むその姿と、今回の純真無垢な牧本の姿が重なりました。

 

ロケ地の山形の風景も美しかったし、エンディングで流れる、宇崎竜童の『Over the Rainbowも、明るく軽快なタッチのアレンジで湿っぽくない点が、主人公牧本にぴったりであり、心に染みて、映画の余韻に浸るのにぴったりの曲でした。

ラストでの意外なあの人の登場シーン、かっこよかったなぁ。

多くの方に観て頂きたい、オススメ映画です。

原作の『おみおくりの作法』も、公開時気になりつつ見逃していたので、是非観てみたくなりました。

youtu.be

 

トレイシー・ハイドマーク・レスターに会いたかった話

映画といえば…

今月末公開予定のビー・ジーズのドキュメンタリー公開記念と絡め、ビー・ジーズの曲で彩られた映画、小さな恋のメロディの公開50周年を祝して、特別上映会が先月末にあり、上映後に主演の二人マーク・レスタートレイシー・ハイドの舞台挨拶があったそうですね。

ちょうど渋谷の映画館でそのイベントがあった日の夜に、それをネットニュースで知った、中学時代の友人から連絡が来て知ったのですが。

screenonline.jp

その友達とは中学時代何度かこの映画を一緒に観に行き、お互い忘れられない大好きな作品でした。そのイベント情報、知っていたら是非観に行きたかったなぁ!

コロナ禍から、こういった映画やコンサートなどの情報には、とんと疎くなってしまいました。( ̄▽ ̄;)

あれから50年の時を経ても、主演の二人には当時の面影がしっかりあり、大きく変わってなくて良かったでした。

挿入曲では、メロディとダニエル、2人の初々しいデートシーンでかかる『若葉のころ』や『メロディ・フェア』が特に懐かしいです♪

(「小さな恋のメロディ」サントラ盤から)

紅葉が綺麗な季節になってきましたね。(^-^)