つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

田坂広志・著『教養を磨く(宇宙論、歴史観から、話術、人間力まで)』~秋祭り

著者の新書は、以前読んだ『死は存在しない』が興味深かったので、7月に刊行されたこちらも図書館で予約して読んでみた。

先月感想を書いた小説、『かっかどるどるどぅ』と同時期に借りて、下書きにメモしておいたものの、他にUPしたいことが色々出てきて後回しになってしまった。

内容は以前読んだのと重複している部分もあったけれど、こちらも色々共感できる興味深い内容だった。

 

真の教養とは、多くの本を読み、様々な知識を磨くことではなく、「人間としての生き方」を学び、実践することである。現代の教養論では、そうした「生き方」という大切な視点が見失われている。

そして、知性とは、「なぜ世界はここにあるのか」「なぜ自分はここにいるのか」というような、「答えの無い問いを、問い続ける力」だそう。

問い続けられるかどうかは別として、若い頃からそれらのこと含め、この世のしくみについて関心があり不思議に感じてきた。なのでこの箇所を読んで、またしょうもないことを考えているなと、自分を茶化さなくてもいいんだなと思った。(^▽^;)

 

「人は歳を取ると、精神の若さと瑞々しさを失っていく」というのは迷信であり、無意識のうちに「自己限定」してしまっている。そういう「自己限定」は世の中にあふれている。人は永き歳月を歩み、人生の苦難を乗り越えていくほどに、精神は若々しく瑞々しくなっていく。

記憶の衰えとともに精神も衰えていくのかとずっと思っていたけれど、なんと心強いお言葉。

でも感受性については、思春期が一番強かったように思うのだけど…

「無意識のうちに自己限定してしまっている」というのは、あらゆることに当てはまると思う。何かを始めたいときにも「もう歳だから無理」というような。

私のように膝が悪くなってきた場合、ダンス系はもう厳しかったり、身体的に無理な場合はさておき、若いアスリートの場合でも、「可能性の開花」を邪魔するものは、「自分には不可能だ」という自己限定の強い思い込みにあるのだそうだ。

 

「死生観を定める」ことや「今を生き切ること」が大切とのことは、以前読んだ本にもあったけれど、

「人はかならず死ぬ」「人生は一度きり」「人生はいつ終わるかわからない」という3つの真実を直視できるかどうか。それを直視することによって、私達にはこの3つの力が与えられる。

1人生の「逆境力」が高まる

2人生における「使命感」が定まる。

3人生の「時間密度」が高まる。

「明日死ぬという修行」をすると、日々の風景が変わり、そして人生が変わる。我々は人生の「長さ」は決められないけれど、人生の「密度」は決められる。

「死」があるからこそ「生」が輝く。そのことに気づいたとき、人生の風景が変わる。

「一日を一生と捉えよ」というような言葉も聞いたことがあるけれど、年齢を重ねて先が見えてくると、私でも誰でも「時間」がより大切になってくると思う。

やりたいことは出来る限り、後回しにはしたくない欲求にも駆られたり。

 

「言葉を超えて伝わるもの」

コミュニケーション研究においては、言葉を通じて伝わる「言語的メッセージ」より、眼差しや表情、仕草や姿勢、雰囲気や空気を通じて伝わる「非言語的メッセージ」の方が、何倍も比重を占めていることが明らかにされている。

真のコミュニケーション技法は、「言葉をいかにつかうか」というより、その奥にある「心の置きどころ」と呼ぶべき世界。

私もそれはよく感じる。相手や自分の気分も、言葉より、眼差しや表情からさりげなく伝わってしまうもの。

著者も経験があるそうだけど、心の傲慢さはそのまま相手に伝わってしまうものなので、謙虚な気持ちが大切とのこと。

 

「悟り」とは、自分の心を静かに見つめる、もう一人の自分が現れている瞬間をいう。一つの物事に全霊を込めて取り組んでいるときも、ときおり「無心」や「悟り」と呼ぶべき瞬間が訪れる。「悟り」とは、この一瞬を全霊を込めて生き切る時、目の前にあるもの。

仏教において「悟り」とは、全てを理解し目覚めたような、究極の目的のように思っていたけれど、著者の考えのようなものであれば、日常でも体感できそうだ。

 

「直観は過たない。過つのは判断である。」

「直観力を身につける2つの道」とは、一つは、考えて考えて考え抜くという論理思考に徹する技法。もう一つはこの論理思考の対局にある、座禅や瞑想をいう古来から伝えられてきた技法。この二つの道を同時に進むと、我々の能力を遥かに超えた変容が起こる。

 

「フォースを使う技法」という目次や、映画通の著者らしい、今回も様々な映画作品なども参考に取り入れていたり、他にも人間の「エゴ」についてや、「幸福は、不幸の姿をしてやってくる」「人生で起こることは、すべて深い意味がある」等など、色々興味深い話満載でした。

 

tsuruhime-beat.hatenablog.com

 

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【おまけ】

先週の日曜は、地元の秋祭りでした。

4年ぶりの開催だったので、模擬店やステージなど、色々な催し物が開催されている広場は、大勢の人でとても賑わっていました。

川では、和舟の舟行も。

よさこい」の踊りや、ヒップホップダンスなど、ステージ上も若いパワーいっぱいでした。

すると、馴染みの鳴り物の音が聞こえてきて、行ってみると…

夏に続き、地元でも「阿波踊り」の流し踊りを見られて、太鼓の音にもワクワクしました。観客も、踊り手の皆さんも、とても楽しそうでした♪