つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

映画『古の王子と3つの花』『コンサート・フォー・ジョージ』

都心でしかやっていない観たかった映画。久々に梯子して、2本続けて観てきました。

またもや2作品の紹介ですが。^^;

最初に観たのは、

『古(いにしえ)の王子と3つの花』

フランス・ベルギー合作ミッシェル・オスロ監督作品。3話からなるアニメーション映画。

3つの異なる都市と時代、「古代エジプト」「中世フランス」「18世紀トルコ」を舞台に、知恵と勇気で自身の困難な運命を変え、幸福を手にする3人の王子の生き方が見事でした。

ルーブル美術館とのコラボレーションで制作された、クシュ王国の若き王子の物語である第1話の『ファラオ』。第2話『美しき野生児』は、父に反逆した中世の王子。

千夜一夜物語に想をとった、イスタンブールが舞台の豪華絢爛な美味しい第3話、『バラの王女と揚げ菓子の王子』

勇気と知恵を糧に、非暴力で自分の人生を逆転させていく、3人の王子のエキゾチックな物語。(作品のチラシより)

「驚異的な美しさをもつ物語である」という映画のチラシにもあったように、ため息が出るくらい、とにかく「美しい」の一言に尽きる作品でした。

最近観たアニメ映画2作品のように、壮大な映像美ではあっても、ストーリーが目まぐるしくて、ついていくのがやっとだったのとは違い、この作品は動きもスローテンポで、絵も影絵や切り絵のような素朴さだったので、それもゆったりした気分で作品の世界をじっくり堪能できました。

今の時期、灼熱の砂漠の中に見つけた、オアシスのような清涼感を感じられる作品でもあります。

第1話『ファラオ』での、戦わずしてエジプトを統一し、黒人初のファラオとなる王子の、敵対する相手に対して呼びかける、その台詞もとても印象に残りました。

声優についても、第2話『美しき野生児』での、子供時代の王子の声にとても魅了され。

囚人がいる壁の隙間に向かって、王子はボールを投げ入れ、それを投げ返してもらうことでその囚人と会話を交わすようになるのだけど、「君の声を聞くと娘が歌っていた歌を思い出す。」との囚人の言葉で、その一節を王子が歌い出したその歌声もまるでウィーン少年合唱団員のようで。

第3話『バラの王女と揚げ菓子の王子』での王女の声も魅力的でした。

全編を通しての、フランス語の台詞も耳に心地よくて。

映像的にもこの第3話の映像美が一番豪華であり、特に、鮮やかな青色が印象に残りました。さすがブルーモスクの国、トルコが舞台なだけあります。(行ってみたい♪)

そしてこの3話では、観ていると無性に揚げ菓子が食べたくなります。

あれだけの量の揚げ菓子を毎日食べ続けたら太るでしょうに…そこはアニメ、スリムな王女のままです。3話目の王子は、見た目や動きが、K-POPスターのようにも感じました。

上映時間が83分なのも、短めで私にはちょうど良かったでした。

アラビアンナイトやおとぎ話のような、夢の世界に浸れ、至福の時間を過ごせた作品でした。

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『コンサート・フォー・ジョージ』

2001年58歳で亡くなったジョージ・ハリスンの一周忌にあたる2002年11月29日、ロンドンのロイヤルアルバートホールで行われたトリュビート・コンサート。

ジョージの妻オリヴィアと盟友エリック・クラプトンの呼びかけで、ポール・マッカートニー、リンゴスター、ジェフ・リン、トム・ペティラヴィ・シャンカールビリー・プレストンモンティ・パイソン等々、ジョージと親交のあったミュージシャンたちがジョージの曲で共演。

そういえば、私が初めてポール・マッカートニーの来日公演を観に行くことが出来たのも、2002年11月初旬でした。

その同じ月に、このコンサートが行われたのかと思うと、改めて感慨一入でした。

 

このDVDは発売されたとき購入したものの、是非一度は大画面で観てみたい作品でした。

ここ数年は観ていなかったのもあり、インタビューほか忘れていた部分がたくさんあり、新鮮な気分で観られました。

作品冒頭、ジョージの妻オリヴィアと、息子ダーニの挨拶が映りましたが、20年前のこのコンサートのとき、やはりジョージによく似ているなぁと感慨深く思った、幼さを残し少年ぽかったダーニ。

現在は大人の風格で渋くなり、益々ジョージに似てきていました。

そしてやはり映画館だと、音響も良く、一緒にそのコンサートを目撃しているような臨場感いっぱいでした。

でもできれば、もう少し音量を上げてくれた方が、より生演奏を観ている気分になれたような…。私は生ライブ音に慣れてしまっているせいかも知れないけれど。

 

DVDを初めて観たとき、一番感動したのが、ポール・マッカートニーがジョージとの想い出を話した後、ウクレレから始まり、間奏からフル演奏とになった『サムシング』。

クラプトンとポールで、アイコンタクトをしながらのハモリ部分は特に胸に迫り、今回も感無量でした。

ポールの来日公演でも、このバージョンで初めてやってくれたときも感涙でしたが。

ポール登場場面で、最初に歌ったのがこれまた昔から大好きな『フォー・ユー・ブルー』だったのも忘れていたので、ノリノリで楽しそうなポールも懐かしくて。

リンゴの歌は、『フォトグラフ』と、ドラムを演奏しながらの『ハニー・ドント』。

リンゴ登場からは、ドラムが3台になり、さぞ会場では迫力いっぱいのことだったろうなぁと改めて感じました。

今回特に心揺さぶられたのは、キーボーダー、ビリー・プレストンによる『イズント・イット・ア・ピティ』。

中学時代、『オール・シングス・マスト・パス』のアルバムに入っているこの曲を初めて聞いた時、孤独な深淵を覗くような気分になり、何て深い曲なんだろうと、繰り返し聞いた覚えがあります。

ビリー・プレストンの歌の上手さを今回改めて感じたし、始終笑顔でその思いがこもった表情も、心に染み入りました。

ラスト曲、ジョー・ブラウンのウクレレによる『夢で逢いましょう』も、初めて観たとき、舞台中央に掲げていたジョージの写真が大写しになり、そこに降りかかる花吹雪に胸がいっぱいになったのを覚えていますが、今回も、何とも切なく寂しい気持ちに駆られました。

始終楽しそうな出演者、その日集まった観客、その皆の愛がいっぱいに詰まった、とても温くて素晴らしいコンサート。

ジョージやビートルズファンでなくても、ジョージの素晴らしい楽曲とともに、会場に渦巻く愛を感じられ、幸せな気分になれるはず。

こちらも、是非多くの人に観て頂きたい作品でした。

欲をいうなら、インタビューシーンだけではなく、曲でも字幕を付けて欲しかったでした。特にお笑いのモンティ・パイソンの場面では。

そうそう、この中でトム・ハンクスも、ジョージがやった木こり役を楽しそうに演じていましたっけ。それも今回見るまで忘れてましたが。

上映が終わり、館内が明るくなった時、拍手が湧き起こりました。

 

DVD解説にある、「だから私たちは、ジョージの音楽と人生を楽しく明るく称えるコンサートにしようとしました。」とのオリヴィア・ハリスンのコメントもいいです。

ジョージ曲である、この「ビウェア・オブ・ダークネス」の歌詞を引用して。

悲しみには気をつけて

悲しみに打ちのめされたり

傷つけられたりしないで

人生は楽しく生きていくべきものだから

(“Beware of Darkness”『オール・シングス・マスト・パス』収録。)

この曲は、コンサートの中でクラプトンが、ジョージの曲の中でも彼らしい大好きな曲だと紹介し、熱唱していましたね。

私も、いかにもジョージらしく独特で変わったコード進行だなと感じ、改めて聴き入っていました。

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ビートルズファン歴59年でジョージ愛が詰まったsmokyさんの感想と、ビートルズの中でも特にジョージファンである、あい青子さんの感想&関連情報も合わせてどうぞ~♪

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