2021年公開の映画『竜とそばかすの姫』(監督・原作・脚本/細田守)
昨年テレビ放映されたのを録画して、最近やっと観てみました。
(録画したまま、まだ観ていない映画は、他にも数え切れないほどあって^^;)
高知県に住む17歳のすずは、幼い頃に事故で母を亡くし、父と二人暮らし。
歌が大好きだったすずは、母が亡くなって以来心を閉ざし、歌も歌えなくなってしまう。
そんなある日友人から誘われて、インターネット上の仮想世界「U」に参加してみる。
全世界で50憶人が集う「U」では、「AS(アズ)」と呼ばれる自分の分身を作ることが出来る。
すずはそこで「ベル」という分身を作り、ベルの歌は瞬く間に世界中から脚光を浴びるようになる。
そこに現れる謎の存在である粗暴な「竜」や、正義を振りかざし「U」での秩序を乱すものを取り締ろうとするアズたち。
すずの幼馴染や友人、周囲の人たちを絡めて、冒険ファンタジーのような展開で、話が進んでいく。
「U」の中で、『美女と野獣』と同じ場面が度々出てきたので、不思議に思い、なぜなのか調べてみた。「ベル」という名前からして『美女と野獣』の主人公と同じであり。
細田監督の会見記事によると、この作品の発想の原点は、インターネット上の世界で『美女と野獣』をやったらどうなるかということだったそう。
インターネットも『美女と野獣』も、現実と虚構という二重性を併せ持っているので、そこでの恋物語を表現したかったとのことだ。監督自身『美女と野獣』の大ファンだそうで。
『美女と野獣』は、私もお馴染みのテーマ曲からして大好きだったし、アニメ版もエマ・ワトソン主演の実写版もとても良かったな。
「U」で描かれている、その煌びやかで目まぐるしい仮想空間に既視感があり、最初の方でこの映画観たんだっけかなぁと思ったら、同じ監督の『サマー・ウォーズ』で同じような仮想空間だったのを思い出した。
細田守監督のアニメーション映画はほかにも、『時をかける少女』『未来のミライ』『バケモノの子』『おおかみこどもの雨と雪』など、調べると結構観てきたけれど、物語として中学時代から思い入れのある『時をかける少女』は除いて、一番心に残っているのは『おおかみこどもの雨と雪』かなー。
SNSが発達してから、その匿名性を利用して、誹謗中傷が溢れているように、「U」の世界でもすずが暮らす現実世界でも、「竜」に向けた誹謗中傷が溢れたりする。
すずが幼い頃、目の前で母が他人の子を救出するために、自らが犠牲になってしまった、その水難事故に対しても、母に向けた非難めいた書き込みが色々あったり。
実際の事件でも、被害者の傷口にさらに塩を塗るような、こういった心無い攻撃があるのを思うと暗澹たる気持ちになる。
とはいっても、この作品はすずが「ベル」に変身することによって、自らの殻を破ったり、「竜」の存在などによって、強くなろうとする成長物語であるので、見終わって爽やかな余韻の残るいい作品だった。
すずを見守る周囲の友人や大人たちも温かくて。
仮想世界「U」での世界も、スケールが大きくきらびやかでとても美しく、特にクライマックスでの、すずが大勢のオーディエンスの中で素の姿で歌う場面では、その圧倒的な映像美や歌声で、すずの思いも伝わってきて心打たれた。
この場面だけでも、大きなスクリーンで見たかったなぁ。
高知県の豊かな自然描写も美しく、つくづく最近のアニメは進化していて素晴らしいなと思う。
すずの声は、ミュージシャンの中村佳穂。ほか、成田凌、染谷将太、役所広司など、そうそうたる俳優陣が吹き替え担当していた。
中村佳穂さんは知らなかったけれど、台詞も歌声も魅力的だったし、すず役にもぴったりだと感じた。
声を聞くと、顔が直ぐ浮かんしまう俳優さんだと、どうも作品に集中出来ないので、その点も良かった。
インディ・ジョーンズの最新作も観たいと思いつつ、なかなか観に行けません。
昨日公開された、宮崎駿監督・最新作も気になりますが…
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この映画とは関係ないけれど、ベルの魅力的な声と艶やかなステージから思い出したので、今年になり曲を聴いてオッと思った、「ウェット・レッグ」を最後にちょっとご紹介を。
「ウェット・レッグ」は、英国・ワイト島出身のリアン(ボーカル&ギター)と、へスター(ギター&ボーカル)女子二人組のロックバンド。
昨年出した初アルバムが、全英チャート1位になったそう。その曲といい歌声といい、個性的で独特な魅力にあふれている。
今年2月初来日公演もあったようだけど、こんなユニークでハデハデなステージも是非観てみたい♪
デビューシングルである "Chaise longue"
このライブでの世界観が、「U」でのベルのライブシーンと似ているように感じました。
こちらは和訳です↓
これまた癖になるメロディーラインの "I Don't Wanna Go Out"。
この "Obvious" は、バラード調でノスタルジーを感じる一曲。後半はロック調で盛り上がる部分がまたグッドなのです♪