絵本『アグネスさんとわたし』(ジュリーフレット・作/ 横山和江・訳)
先日、小学校高学年での読み聞かせで読んでみました。
ストーリーはもちろんのこと、絵もとても魅力的で美しい作品です。
この物語の主人公は、キャセレナという、カナダ先住民族であるクリー族の少女。
クリー族とは、ヨーロッパから人が移り住む前からカナダに住んでいる、600以上の先住民族(カナダではファースト・ネイションと呼ばれる)の一つで、クリー語を話すそうです。
カナダに600以上もの先住民族がいたなんて、先ずびっくりでした。
調べてみたら、クリー族は、アメリカ・インディアンの一民族だそう。
因みに、アメリカ合衆国での先住民族を調べてみたら、認定されている部族数は562だそうです。
キャセレナが、海辺の町から母と二人で引っ越した新しい家は、野原を見渡す丘の上。
野原には、スノードロップの花が一面に咲いていて、野原の向こうには、アグネスさんというおばあさんが住んでいます。
スノードロップの花(ネットより拝借)
そのアグネスさんとキャセレナの、心の交流を描いた、心温まる絵本です。
キャセレナは絵を描くのが好きで、アグネスさんは、庭づくりや物づくりが大好き。
アグネスさんが作るのは、丸くてつやつやの満月みたいな壺。
アグネスさんは、月の満ち欠けについて教えてくれます。
キャセレナは、クリー族の季節のことを、アグネスさんに話します。
裏表紙の言葉にあるように、自然やアートを愛する二人の友情が、季節の移ろいとともに育まれていきます。
冬になって体調が悪くなってきたアグネスさんに、お母さんと一緒にサケのシチューを作って届けたり、春、ベッドに横たわったままで、外の景色を見られないアグネスさんのために、キャセレナがこれまでに描いた鳥や花などの絵を、アグネスさんの部屋の壁一面に貼ってあげます。
壁いっぱいに貼られた絵を見て、
「私の心にむけた、詩みたいね。」というアグネスさん。
ここは一番心に残った部分で、アグネスさんのそのときの心情やキャセレナの優しさが、その情景とともによく伝わって来るようでした。
その後、二人で静かに語らいながら過ごします。
友達として、アグネスさんと分かり合えたそのひと時は、きっとずっとキャセレナの心の宝物となるような気がします。
この絵本には、クリー語(カナダ最大のインディアン語)も色々登場します。
キャセレナが飼っている犬「オーホー」とは、「フクロウ」の意味。
フクロウは「福来郎」「不苦労」と、幸せの象徴と聞きますから良い名ですよね。
「4月の満月」は、「カエルの月(アイッキーピーシム)」。
「10月の満月」は、「鳥の渡りの月(ビミハウピーシム)」というそうです。
その大きな渡り鳥たちが飛んでいる、見開き一面のイラストも素敵です。
このクリー族の満月の呼び名で興味が湧き、他にもどんな言葉があるのか調べようと検索してみたら、直ぐこの記事に目を引かれました。
作品に出てきたような、クリー族独自の言葉ではありませんが、アメリカ先住民であるインディアンたちの、ためになる名言が満載でした。
どれも覚えておきたい、心に響く言葉ばかりです。
さすが、「インディアン、嘘つかない。」どころか、今に通じる先人たちの生きる知恵がいっぱいですね。自然に対しての、畏敬の念もよく伝わってきます。
この絵本の作家、カナダ人のジュリー・フレットさんは、クリー族の父と、ヨーロッパ系の母から生まれたそうで、先住民族をテーマに、数多くの作品を発表されているそうです。
カナダと聞くと、昨年NHKで放送されていた「アンという名の少女」でも、アンが先住民の少女と仲良くなるシーンがありましたね。プリンス・エドワード島での先住民も、迫害の悲しい歴史があったことが伺われました。
最後に、同じカナダ繋がりで、久々にカナダ出身のアラニス・モリセットの曲をUPしたくなりました~。
かなり前の、「好きな女性ロックボーカリスト」の記事の時は、アラニスの 「Thank you」をUPしましたが、今日はこちらの曲を♪
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ところで、今日七夕は、リンゴ・スターのお誕生日でもあります♪
2年前の今日の記事には、リンゴにまつわるお伽話を書いてみましたっけ。
自身の誕生日に寄せて、リンゴからのメッセージがUPされていました。
今日は、リンゴの笑顔満載のこの曲で、バースデーを祝いたいと思います。
リンゴ、83歳の誕生日おめでとう!
いつまでも、お茶目な笑顔で元気で!(^^)/