つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

実話を映画化した『フィッシャーマンズ・ソング 』

 

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イギリスを席巻した実在する漁師バンドの実話を映画化。イギリス南西部コーンウォール地方にある小さな港町ポート・アイザック。この地に旅行で訪れた音楽マネージャーのダニーは、漁師たちのバンド「フィッシャーマンズ・フレンズ」のライブを偶然見かけ、上司から彼らとの契約を命じられてポート・アイザックに居残ることに。民宿の経営者のオーウェンはダニーの失言に敵意をむき出しにしていたが、ダニーの音楽への熱い情熱に次第に心を動かされていく。やがて「フィッシャーマンズ・フレンズ」と無事に契約を果たしたダニーだったが……。「シンクロ・ダンディーズ!」のダニエル・メイズ、「輝ける人生」のデビッド・ヘイマン、「わたしは、ダニエル・ブレイク」のデイブ・ジョーンズが顔をそろえる。

2019年製作/112分/G/イギリス

原題:Fisherman's Friends

  (解説は、映画.com より)

 

 

先月、『パラサイト 半地下家族』の次に観た映画は、イギリスの音楽映画『フィッシャーマンズ・ソング』だった。

 

観てからかなり日にちが経ってしまったけれど、印象に残った部分などメモっておいたので、簡単に書き残しておこうと思う。

 

解説にあるように、この映画は実話を映画化したもので、イギリス・コーンウォール地方の小さな港町であるポート・アイザックが舞台。

 

そこでの風光明媚な景色とイギリスらしい素敵な家々、そして主人公ダニーが何度も橋を渡って行き来するロンドンの街並みも交互に堪能出来、映像的にも楽しめた。

 

コーンウォールとはイギリスのどの辺りだっけと調べてみたら、海に面した南西部の突端で、ロックフェスの聖地でもあるワイト島にも近く、この魚師バンドもワイト島の音楽祭にも出演したことがあるのかな?と気になった。

 

映画の中で一番心に残ったのは、やはりそのフィッシャーマンズ・フレンズの、いかにも海の男達らしい骨太で浪々とした素晴らしい歌声だ。


解説には魚師バンドとあるけれど、バンドというより男性合唱団という感じだ。

浜辺やパブで、その歌声を響かせると、例え初めて会った人達とでもアッという間に仲間になれてしまう。

 

その魚師らが歌う古くから伝わる舟歌は、労働歌の性質もあるようで、その歌詞も漁業に関するウイットに富んだものが多かった。民謡のようなものなのかな。

 

そしてそれとは別に時々流れる挿入曲も、とても味わい深く余韻の残る曲だった。

 

普段は漁業だけれど、地元の海難救助隊も兼ねていて、この島にたまたま音楽会社の同僚と遊びに来ていたダニー達は、海で遊んでいて遭難してしまい、助けてくれた彼らの歌声を浜辺で初めて耳にして聴き惚れてしまう。

 

彼らとの契約を上司に命じられたダニーは、最初は渋々この地に留まるのだけれど、

上司の命令は冗談だったって事が分かった後も、次第に魚師達の歌声の素晴らしさに圧倒され、上司達から相手にされなくても独自に売り込もうと孤軍奮闘する。

 

最初は冷たかった魚師達も、ダニーの熱意に次第に心を開いて行くその過程も良く、

その場面での「ビートルズを逃すようなことは出来ない」とのダニーの台詞もウイットに富んでいて面白かった。

 

また予告編にもあったけれど、ダニーがこの魚師バンドであるフィッシャーマンズ・フレンズを引き連れて売り込みに行ったロンドンで、このおじ様軍団が全員サングラスで颯爽とかっこよく登場した時の以下のような会話も面白かった。

タランティーノの映画に出るつもりか?」

「サングラスを付ければ、ボニオになれる。」

「ボノだろ、まぬけ。」

 

この売り込みが難局を乗り越え成功して行く過程は、さすが今の時代ならではという感じだった。

 

この主人公ダニーは、見た目もぱっとしない中高年なんだけど、その人柄が反映されてか、見ているうちに親しみが増して素敵に思えて来るから不思議だ。

 

ダニーが最初から好意を持つ、宿泊先のB&B女性オーナーであるオーウェンも、きっとそうなんだろうなと思う。

 

ストーリー的には既視感があったけど、この二人の恋の行方も絡め、ラストも温かな笑いに包まれるいい映画だった。

 

 

実際この港町にフィッシャーマンズ・フレンズが誕生したのは、1995年に慈善事業の資金集めのため結成したのが始まりだそうだ。

 

その後映画のようにスカウトされ、2010年にレコード会社と契約した後、1st アルバムが全英ヒットチャートでトップ10入りを果たしたそうだ。

エンドロールでは、当時の実際のフィッシャーマンズ・フレンズ達の写真が映る。

 

この映画でも後半、地元のお馴染みのパブで、皆でビールを飲みつつラジオに耳を傾けながらランキングを待つシーンがあり、高揚感が伝わって来て一緒になってワクワクした。

 

「人生には、歌とビールと、ちょっぴりユーモアが欠かせない」

まさにその通りだ('◇')ゞ

 

終盤ではまた、美しい夕暮れ時、海辺の家のテラスで、老人が静かに息を引き取り連れ合いが静かに見守る場面があったけど、そのシーンもとても美しく胸を打たれるものがあった。

 

 

高齢だった私の母も先月末に亡くなった為、その前後数日は気忙しい日々で映画どころでは無かったけど、この後公開された映画の中にも、気になっていた作品が次々とあったので、またそのうち観に行けたらいいなと思う。

 

 

 

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ヒューマントラストシネマ有楽町にて。