先週土曜日は図書館での「読み聞かせ」担当日でした。
今回はこちらの絵本、『しましまかしてください』(作・林なつこ)を読みました。
当日は雨模様で、児童室も閑散としていましたが、館内放送や、児童室にいらした親子の方々に直接呼びかけたら、定員6組ちょうどの親子の皆さんが集まって下さいました。
憧れのシマウマと友達になりたいゾウは、自分もしま模様になれば、友達になれるかと、体にしま模様があるハチやサル、トラに頼んで次々にしましまを貸してもらいます。
体の大きいゾウはそれでもしま模様が足りず、空にかかる虹にまで頼んで貸してもらいます。
ついに立派な「しまゾウ」になれ、シマウマに「僕と友達になって下さい。」と言い、大の仲良しになれます。
しばらくすると、しま模様を貸した動物たちが次々に「そろそろしましまを返して。」とゾウの所にやって来ます。
そばにいたシマウマは、「しましまがなくても友達だよ。」と言ってくれ、ゾウはほっとして、皆にしましまを返します。
空にも虹が戻ったのですが、その時の絵がユニークで、皆で虹を見上げているとき、トラだけが虹色のしま模様になっているのです。( ´艸`)
見た目が同じじゃないと、友達になってくれないと思っていたゾウ。
でもどんな間柄でも、心と心の繋がりが大切なんだということが伝わってくるようで、カラフルな絵といい、子供に限らず大人でも楽しめる絵本だと思いました。
人間関係でも、自分と同じタイプの人に惹かれたり、また違うタイプの人に惹かれたり様々ですよね。
自分と好きなモノが共通しているより、苦手なモノが共通している相手との方が上手くいくと書いてあったのは、以前読んだ小泉今日子のエッセイだったでしょうか…
ゾウがシマウマに友達になってと告げる部分で、私も小学入学後に、帰りが同じ方向だった同級生に「私と友達になって。」と勇気を出して言ったときのことを思い出しました。通学路のどの辺りだったとかまで、今でも鮮明に覚えています。
その子とは家が近くだったので、1年生の頃はよく遊んでましたが、消極的だった私と比べて彼女は活発だったので、次第に遊ばなくなったような。
でもその子は、大人になってから開かれた同窓会での幹事をやっていて、お互いに名前をちゃん付けで呼びあっていたのは私たちだけだったので、いかにも幼馴染って感じでほのぼのした気分になれました。
この「読み聞かせ」後、また別の用事で出かけたのですが、そのことはまたの機会にでも!
『お楽しみはこれからだpart3映画の名セリフ』(和田誠・著)
~イラストレーター・グラフィックデザイナーとして活躍し、さらにエッセイスト・映画監督・作曲家など多彩な顔をもつ和田誠の代表作にして、映画エッセイの名著が愛蔵版として復活~
記憶に残る「映画の名セリフ」をご自身のイラストレーションとともに紹介されていて、私は観たことのない古き良き時代のアメリカ映画が多かったけれど、作品の簡単な紹介とともに興味深い内容でした。
このシリーズは、「キネマ旬報」で1973年から23年の間連載されていたそうです。
巻頭に、和田さんの奥様平野レミさんの言葉が、栞として添えられていました。
和田さんと一緒に過ごした47年間、一番よく思い出されるのは、リビングのソファーで映画を見ている和田さんの後ろ姿だそうです。
平野さんは映画は大の苦手だったけど、それでも和田さんの勧めでリビングで何度も一緒に見た作品は、『大脱走』と『戦場のピアニスト』の2作品だったとか。
この本からも、和田さんの映画愛がよく伝わってきましたが、映画は、平野レミさんの生涯のライバルであり、和田さんのお楽しみこそ、私の恋敵だったと結ばれていました。和田さんへの愛が詰まったコメントでした。
以下、興味深かった映画・心に残った名セリフ中心に挙げていきます。
『遠すぎた橋』
「上の連中が戦争ごっこを始める。そして下のみんなが死ぬんだ。」
監督は、『大脱走』で脱走を指揮するイギリス人将校を演じた、リチャード・アッテンボロー。
大がかりな戦争映画は、血沸き肉躍る万歳映画を連想するけれど、この『遠すぎた橋』はそうではなく、作戦の失敗や負け戦の場面を描いているところが異色だったそうで、だからこそ、ジーン・ハックマンのこのセリフが象徴的なのだそう。
いつの時代の戦争も、この名セリフの通りですよね。
『渡洋爆撃隊』
「言葉より気持ちだ。音楽は気持ちを伝える。」
ピアノを弾いているヒロイン役のミシェル・モルガンに相手役のハンフリー・ボガートが言った言葉だそう。
戦争中に制作され、ナチ憎しの思いで貫かれた作品であり、監督・出演俳優陣は、『カサブランカ』とほぼ同じだそうです。
『運命の饗宴』
「君たちは楽譜の通りに演奏している。だがそれではロボットだ。楽譜は頭と心で書かれている。フィーリングのない音楽は雑音だ。」
このセリフは、ヴィクトル・フランサン演じる指揮者の言葉だそうで、この作品は10人の脚本家によって書かれた、オムニバス映画だそう。
一着の新調の燕尾服が、ボロ服となって案山子に着せられるまでに、それを手にしたさまざまな人の運命に関わっていく物語だそうで、そのストーリーに興味惹かれ、機会があれば見てみたいと思いました。
『ライムライト』
映画の中で、自殺しようとするバレリーナを助けたチャップリンは、数々の人生訓をしゃべる。
「宇宙の何よりも貴い、生きるという奇蹟を消してはいけない。星に何ができる。ただ空をめぐっているだけだ。」
「人生で大切なものは勇気と想像力、それに少しのお金だ。」
「死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ。」
等々。
チャップリン映画は色々見ましたが、『ライムライト』も良かったですよね。
この他、『ローマの休日』での、新聞記者の家で目を覚ました王女が記者に聞いた、「ここはエレベーターですか?」「僕の家だ。」という台詞も確かに面白かったので共感できました。
また、同じく大好きだった映画『天国からきたチャンピオン』の箇所で、この映画は、1941年制作の『幽霊紐育を歩く』という作品の再映画化だったそうで、それはこの本を読んで初めて知りました。
昔観た想い出の映画、『グッバイ・ガール』も登場して懐かしかったです。
洋画好きだった父親が大好きだった作品、『第三の男』も出て来ましたが、昔、父親とテレビで一緒に見ていて、子供心に何て面白いサスペンスと感じたのを憶えています。
和田さんも、ウィーンといえば真っ先に思い出す映画だそうで、
「チターの弦をアップでとらえたタイトルバックから、第三の男が初めて登場する瞬間、下水道の追いかけシーン、枯葉の落ちる並木道のラストシーンと、どの瞬間を抜き出しても、いい写真になっているところもいい。」
と書かれていて、私もテレビで何度か見ているので、あの有名なチターの調べのテーマ曲とともに、それらのシーンが懐かしく思い出されました。
では、永遠のチター奏者、アントン・カラスの「第三の男」をどうぞ~♪
尚、パート1・2は未読です。(^▽^;)