つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

映画『声優夫婦の甘くない生活』と、丑年は「ミル姉さん」。

本年もどうぞ宜しくお願い致します🎍

 

昨年末最後に観た映画は、こちらのイスラエル映画でした。

 

f:id:tsuruhime-beat:20210104203106j:plain

 

1990年にソ連からイスラエルにやって来た移民のヴィクトルとラヤの夫婦。

ソ連では声優として有名だった2人だが、イスラエルでは声優の需要がなかった。妻のラヤはテレフォンセックスの仕事に就くが、夫のヴィクトルには内緒にしていた。ヴィクトルもまた、違法な海賊版レンタルビデオの声優の仕事を始める。しかし秘密が明らかになったことをきっかけに、互いの本音が爆発する。

監督は、自身の経験を基に本作を作り上げたエフゲニー・ルーマン。主演はヴラディミール・フリードマンとマリア・ベルキン。

(シネマトゥディより抜粋)

 

イスラエル映画って初めて観たと思うし、主演の夫婦を演じたイスラエルの俳優ヴラディミール・フリードマン、マリア・ベルキンも初めてだった。

 

作品の舞台となった湾岸戦争直前の1990年イスラエルは、フセインからの化学兵器の攻撃に備え、国民にガスマスクが配られるほど緊迫した状況だったのが分かった。

 

けれど、全体的にコミカルな作品だったので、このガスマスクも笑えるシーンや胸にグッと来るシーンでも効果的に使われていた。

 

主役の二人は、最初は冴えない中高年夫婦という感じだったけれど、話が進むにつれて、味わい深い魅力的な男女に見えて来きた。

 

言葉も通じないイスラエルで、家を借り語学学校からスタートした二人に、様々な困難が待ち受けていた。

 

妻のラヤが「感じの良い声の女性求む。」との求人案内で、面接に行った先は実はテレクラの仕事だった。

最初は到底無理と断って帰って来たけど、生活のため思い切って始め、才能を発揮し出す場面では、ラヤの切り替えの早さがコミカルに描かれ、その電話応対場面などは可笑しくて何度か噴き出してしまった。

 

一方ヴィクトルの方も、仕方なくガスマスク販売会社のチラシを配る仕事をしていたけれど、その時入った海賊版レンタルビデオ店で、モニターに映し出されていた映画『クレイマークレイマー』の映像に釘付けになる。

 

かつてヴィクトルはダスティン・ホフマンの吹替もやったことがあったのだった。

なので、映像に合わせてのめり込むように台詞がスラスラ出て来て、そこの店主に驚かれ、そこで違法な海賊版の吹替声優としての仕事を得ることが出来た。

 

そのクレイマーの映像場面で、

ダスティンホフマンは小さけれど、芯があり強い男だ。その強い内面を声で表現するのに苦労した。」

とのヴィクトルの言葉から、声優という仕事の奥深さを感じられた。

 

私も、声優の仕事にちょっと憧れを抱いたことがあったけれど、昨今のアニメブームがきっかけで、私が若かった頃より益々人気で狭き門だと聞いたことがある。

 

「映画は人生を豊かにする。声優はその出会いの案内人だ。」

というヴィクトルの言葉も心に残り、声優という職業や映画に対する深い愛を感じた。

 

その時ラヤは、「私の人生も豊かにして欲しかった。」と返すのだけど、その台詞からも分かるように、夫が自分に対して全く関心を示さなくなったのを寂しく感じていたのが映画序盤から分かる。

 

後半ラヤの仕事がヴィクトルにバレたことで、お互いの本音が噴出すのだけれど、本音でぶつかってこそ、雨降って地固まるって感じのハートウォーミングな作品だった。

 

劇中、ヴィクトルが一押しの映画監督であるフェデリコ・フェリーニの知らない作品が映画館で上映される場面があるのだけど、私はフェリーニと聞くとテレビで何回か放映されていた『道』しか観たことないなぁと思った。

『道』は、高橋大輔がフィギュアで演技していたその主題曲も印象的だったけど、他の作品も観てみたいと思った。

 

後半、ゲラという男性役のイスラエルの俳優さんが、ロビン・ウイリアムズに似ていたのも印象に残った。

 

 映画館のロビーにあった宣伝ボードには、監督のコメントも載っていた。

f:id:tsuruhime-beat:20210104204151j:plain

 

この作品は、旧ソ連圏から移民して来た監督自身の体験を基に出来たそうだけど、本国イスラエルでは新型コロナの影響でまだ上映されてないのだそうだ。

なので、日本で上映されたことにとてもワクワクしていて反応も楽しみというようなことも書かれていた。

 

ところで、声優の吹替と聞いて思い出すのは、

私は、洋画は昔から字幕派なのだけれど、以前『LIFE!』を観た時はたまたま仕方なく吹替で観たことがある。

でも、主人公役のベン・スティラーの吹替がナイナイの岡村隆史で、しかもアメリカ人なのに関西弁だったので、もう岡村の顔しか浮かんで来なくて、何だかな~という気分になったっけ(;´Д`)

作品自体は、壮大でデビッドボウイの曲なども使っていてとても良かったのだけど。

 

ともあれ、この声優夫婦の映画は、映画愛に溢れた良い作品だった。

 

☆ ☆ ☆

 

今年は丑年。

牛と聞いて私が真っ先に思い出すのは、お笑い番組笑う犬シリーズでの「ミル姉さん」。ウッチャン扮する、桃井かおりミル姉さん、好きだったなぁ。

 

f:id:tsuruhime-beat:20210104204448j:plain

 

ってことで、昨年の年始は漫画の「つる姫」でしたが、今年はこの写真を見ながら「ミル姉さん」を鉛筆でざっと描いてみました。目元が難しくあまり似ていませんが^^;

 

一日も早く普通の世の中に戻り、皆が困難な状況から抜け出せるよう願いを込めて。

ミル姉さんのご利益が少しでもありますように。

 

f:id:tsuruhime-beat:20210104204408j:plain