つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

『ミッドナイトスワン』『TENETテネット』~10月に観た映画

 

 

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なかなか落ち着いて映画の感想記事が書けなかったのだけど、先月はこの2本を鑑賞して来た。

 

『ミッドナイトスワン』

 

草なぎ剛演じるトランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いた、「下衆の愛」の内田英治監督オリジナル脚本によるドラマ。故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙。ある日、凪沙は養育費目当てで、少女・一果を預かることになる。常に社会の片隅に追いやられてきた凪沙、実の親の育児放棄によって孤独の中で生きてきた一果。そんな2人にかつてなかった感情が芽生え始める。草なぎが主人公・凪沙役を、オーディションで抜擢された新人の服部樹咲が一果役を演じるほか、水川あさみ真飛聖田口トモロヲらが脇を固める。(解説は映画・Comより)

 

 こちらの映画は公開3週間近く経ってから観たのだけど、映画館が再開されてから観た映画の中で一番観客が入っていた。しかもレディースディでもないのに女性ばかり。

 

昨年観た稲垣吾郎主演の『半世界』でも、思ったより高評価で観客は大多数女性でいっぱいだったのを思い出した。

SMAPとかジャニーズ系映画は女性ファンが殺到するのだろうか。

 

でも草なぎ剛は私も昔主演ドラマを観てからその自然な演技にとても好感が持て、それからその演技に注目するようになったのだった。

 

そのドラマとは、瀬戸朝香と共演していた『成田離婚』、矢田亜希子と共演していた『僕の生きる道』(続編もあった)辺りが特に記憶に残っている。

因みに『成田離婚』では、ユーミンの主題歌『Sunny day Holiday 』もそのドラマの影響で当時よく聴いていたっけ。

 

 なので今回の映画は草なぎ君の演技や、多く登場すると聞いていたバレエシーンにも期待して観に行った訳だけど、内容が想像していたよりずっと重く心にズシンと響いて来た作品だった。

 

何というか、観終わってから大分経つのにずっと余韻が残っていてる。

特に海辺でのラストシーンが、儚く美しく本当に切なくて胸が締め付けられるようだった。

 

トランスジェンダーの凪沙役に成り切っていた草なぎ君は、もう本当に自然な演技で、眼差しやその仕草にも引き込まれた。

 

凪沙を演じているからというより、草なぎ君自身の孤高の魂が、優しく寂しげなその眼差しに反映されているのが画面から伝わって来るようで。

 

母親の虐待から引き離す為に、実家の広島から凪沙の家に預けられて来た少女・一果役の服部樹咲は、今まではバレエ一筋で、色々なバレエコンクールでも賞を受賞して来たそうだけど、今作品が女優デビュー作だそうで、台詞は少なかったけど、その分かえってちょっとした表情等その佇まいが印象に残りやはり存在感いっぱいだった。

 

バレエのレッスンシーンや舞台シーンも素敵で、長い手足が際立っていてまさにバレエ体型。まだ14歳位でもさすがのキャリアを感じさせられた。

 

最初は反発していた二人だけど、お互い段々に心を通わせて来て、

一果が習い始めたバレエ教室の先生が思わず凪沙に「お母さん」と呼びかけてしまったことに対して、「今、お母さんって言いましたよね?」と返した凪沙の何とも照れくさくでもとても嬉しそうな表情。

 

映画のラストまで、凪沙は心底一果のお母さんになりたかったんだなぁと感じ、それ以降の凪沙の行動全てが胸に迫って来てなんともやるせない気分になった。

 

ある夜街中の階段前で、凪沙が一果にバレエを教わる場面もとても素敵なシーンだった。

凪沙は働いていた新宿のニューハーフショーで踊っていた、『白鳥の湖」の「四羽の白鳥」で上手く踊れなかったので。

 

その四羽の白鳥の場面を観て、男性バレエダンサーによるコメディバレエ「モンテカルロ・バレエ団」の来日公演の宣伝を、昔よく見かけていたのを思い出した。

 

一果の母親役である水川あさみも、最初誰だか分からなかったくらい粗暴な母親役を演じていたのもびっくりだった。

 

一果が転校先で唯一出来た友達である、お金持ちのりんとの友情も印象的だった。

お嬢さん育ちでも、同じバレエ教室に入って来た一果を見下したりはしないで、ぶっきらぼうでも親切に接するりん。

裕福な家に生まれてもりんは決して幸福ではないことを一果も感じて、凪沙と同じくお互いの孤独な魂が惹かれ合っていたのが分かった。

 

 

表面からは伺い知れなかった、凪沙のようなトランスジェンダーの方の苦悩を知り、観ていて苦しくなった場面もあったけれど、そういう部分も含めて何とも形容しがたい気持ちにさせられた余韻の残る映画だった。

 

 

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この映画は特にバレエに重きを置いた作品ではなかったけれど、

バレエに関連する映画では、ナタリー・ポートマン主演の『ブラック・スワン』はちょっとおどろおどろしかったけれど、

ジェイミー・ベル主演の『リトル・ダンサー』は忘れられない大好きな作品だった。

 

T-REXの「Get It On」等の曲を効果的に使っていたのも良かったな♪

 

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この作品は、イギリスの不況にあえぐ炭鉱の町で、バレエダンサーを目指す少年ビリーの夢を何とか叶えてあげようとする家族の温かい物語で、ラストシーンでの父親の感極まった眼差しは今でも忘れられない。

 

このラストシーンで「白鳥の湖」の演目で登場した、ビリーの大人役を演じたアダム・クーパーは、イギリスのロイヤルバレエ団でプリンシパルだったダンサーであり、映画を観た後、このマシューボーン版「白鳥の湖」を一度見てみたくて、ロイヤルバレエ団の来日公演を見に行ったことがあった。

 

それは広く知られた古典的「白鳥の湖」とはまた違って、現代的でスタイリッシュで視覚的にも斬新な作品で、男性が白鳥を演じていたので迫力いっぱいだった。

 

男性が白鳥を演じていたと言っても、志村けんのコントのようなチュチュを履いた白鳥ではない(笑)

 

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マシュー・ボーン版『白鳥の湖』)

 

バレエというと、私も子供の頃流行っていたバレエ漫画や、父親が持っていたレコードの中にチャイコフスキーのバレエ組曲もあったので、その影響でバレエにとても憧れていたっけ。

 

その子供時代、家の近くにバレエ教室も出来たのだけど習いには行けなかったので、40歳頃になってから、カルチャースクールで中高年向け簡単なバレエレッスンに数年通っていたことがある。(その前まではジャズダンスをやっていたのだけど。)

 

その教室は昔のバレエ漫画と違い、自分を含め色々な体型の方が習いに来ていて、皆子供時代自分のようにバレエに憧れてた人ばかりだった。

その時昔夢見たトゥシューズも購入したけど、ほとんど履かずじまいで仕舞ってある。

 

昔好きだったバレエ漫画では、主人公がコンクール前ライバルからトゥシューズの中に画びょうを入れられる場面があり、それを見て子供心に、バレエや女だけの世界はつくづく怖いと偏見を持ったりしたけれど(笑)

 

 

おっと、映画の話から逸れてしまったけれど、先月観たもう一本はこちら。

 

『TENET テネット』

 

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ダークナイト」3部作や「インセプション」「インターステラー」など数々の話題作を送り出してきた鬼才クリストファー・ノーラン監督によるオリジナル脚本のアクションサスペンス超大作。「現在から未来に進む“時間のルール”から脱出する」というミッションを課せられた主人公が、第3次世界大戦に伴う人類滅亡の危機に立ち向かう姿を描く。主演は名優デンゼル・ワシントンの息子で、スパイク・リー監督がアカデミー脚色賞を受賞した「ブラック・クランズマン」で映画初主演を務めたジョン・デビッド・ワシントン。(解説は、映画.Com より抜粋)

 

 主演の俳優ジョン・デビッド・ワシントンは、デンゼル・ワシントンの息子さんだったのですね!

久々に、巨大スクリーンならではの超大作映画を堪能して来たという気分だった。

 

事前に、ストーリーが1回観ただけでは理解しがたく難解だけれど、「これは体感する映画だ!」という触れ込みだったので、時間が遡ったりで詳細な部分はちゃんとは理解できなかったけど、観終わった感想はう~ん、マンダム…

でなくて、満足な気分に包まれていた。

 

飛行機等爆破シーンも、CGは使わず全て実写だってところも凄い!

2時間半位あった作品だけれど、映像的にハラハラドキドキの連続で。

 

そして、何よりも音楽というかその場面場面での効果音が、自分的には不穏を搔き立てられるようでもあるけれど、気分がハイになって来るような感覚のBGMでもあり、その音故に画面に釘付けとなり長さを感じられなかったのだと思う。

 

ラストは、友情と、秘めた愛情にホロリとさせられた。

主役の相棒を演じていたロバート・パティンソンもかっこ良かったし、エリザベス・デビッキという女優さんもとても綺麗な人だった。

 

内容をきちんと理解する為にも何度も観る方も多いようだけど、私ももう一度観たい気もするけれど、この映画を二回観るのだったら、他にも色々観たかった映画を観に行きたいかなぁ。

 

 クリストファー・ノーラン監督の作品は、『バットマン・ビギンズ』や『インセプション』『インターステラー』など観ているけれど、その中では宇宙物の『インターステラー』が一番好きだった。

 

以上、『ミッドナイトスワン』の感想に比べて簡単ではありますが^^;

 

 

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これらの作品を観た映画館が入った ショッピングモール入口は、先月はハロウィンのイルミネーションが綺麗でした。