つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

映画『蜜蜂と遠雷』を観て来ました。

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今週は、映画『蜜蜂と遠雷』を観に行って来ました。

 

以前、素晴らしい小説だと知人から薦められ、文庫になったのでそのうち読んでみようと思いつつ、読む前に早くも映画化されてしまいました。

 

原作は直木賞本屋大賞をダブル受賞した恩田陸さんの小説。

キャストは主役の亜夜役を演じた松岡茉優さん他、松坂桃李さん、森崎ウィンさん、鈴鹿央士さん他。

若手の登竜門とされる国際ピアノコンクールを舞台に、才能溢れる4人のピアニストの葛藤と成長が描かれた作品でした。

 

 

それぞれ異なったピアノ人生を歩んで来た4人は、単にライバル同士という関係以上に、お互いの演奏から刺激し吸収し合い、静かで熱い友情にも心を揺さぶられるシーンが多く、原作を読んでいなくても、クラシックにさほど詳しくなくても、音楽映画として十分楽しめ、感動出来たとても良い映画でした。

 

 

印象に残ったシーンを挙げていくと、

 

先ずは、かつて天才少女と呼ばれ、母を13歳の時に亡くし、それがトラウマとなり長らくピアノから遠ざかっていた栄伝亜夜役を演じた主演松岡茉優さんの演技で、何と言ってもクライマックスでのピアノ演奏シーンが素晴らしかったでした。

 

それまでの亜夜と違い、吹っ切れたような表情で、全身から凛とした気迫が感じられる真柏の演奏シーンに圧倒されました。例え手元はプロのピアニストでも、その堂々たる演奏姿は本物の名ピアニストそのままでした。

2次予選での、譜面が白紙のまま即興で弾いた自由演奏も素晴らしくその場面にも圧倒されました。

 

 

鈴鹿央士さん演じる世界的ピアニストから推薦されたという少年塵のシーンでは、家の音の出ない鍵盤でひたすら猛練習を重ねている場面。

血が滲んでも頑張る姿に、昔見た「少女に何が起こったか」というドラマで、小泉今日子演ずるピアノコンクールを目指していた女性が、紙の鍵盤で懸命に練習する場面をつい思い出してしまいました。

 

塵の家にピアノがないのもあってか、ピアノを弾けることの喜びが誰よりも一番溢れているように感じました。

映画ラストの方で、演奏し終えた塵が亜夜にかけた一言にも涙がこみ上げて来ました。

 

 

この塵と亜夜が、ピアノ工房で月の光が差し込むピアノで、ドビュッシーの「月の光」他、月にまつわるメジャーな曲を楽し気に連弾するシーンもとても素敵でした。

 

このピアノ工房の経営者を演じた真島秀和もちょい役でしたが良い雰囲気でした。

ちょい役と言えば、コンサート会場での片桐はいり演ずるクローク係の様子が場面に時々挟み込まれていたのが面白かったです。

 

 

家族持ちのサラリーマン奏者である明石を演じた松坂桃李の演技にも惹き込まれました。

ピアノ専業者でなく、生活者視点での自分なりの音楽を目指すというような台詞には、その真摯な思いに胸が熱くなりました。

ライバル達の演奏を見守っている時、「やはり自分はピアノが大好きだ。」と晴れやかに嬉しそうに言う場面も良かったです。

 

台詞で印象に残ったと言えば、世界的なマエストロを演じた鹿賀丈史の役は、最初は横柄で嫌な感じがしたのだけど、その後のイメージは最初とは異なり、本選前の前夜祭的コンサートで、「その一瞬一瞬が、永遠に繋がっていく」というような演奏について素敵なスピーチをしていて、出来たらその言葉をもう一度聴いて記憶に留めたいと思いました。

 

森崎ウィンさんが演じた優勝候補者のマサルと、亜夜との友情シーンも良かったですが、これらの登場人物達が皆で海に行った場面での、砂浜で足跡を音符に見立て曲当てをしたり、沖での遠雷の風景を皆で見つめる場面も本当に素敵でした。

 

このシーンで「遠雷」とは、世界に溢れている音の中の一つという言葉から、作品タイトルに付いたのだろうと想像出来ましたが、「蜜蜂」は何を意味しているのか、映画で描写されていたなら聞き逃してしまったようです。

それから、雨の中を馬が走って来るシーンが何度か登場しましたが、この馬が何を表しているのかも分かりませんでした。

 

これらの疑問はきっと原作を読めば解消されると思うので、やはり原作も読んでみようと思いました。

 

臨場感溢れるピアノの演奏シーンがこの映画の大きな魅力になっていますが、今月頭にこの映画を観てこられたブログ仲間smokyさんの感想に、ピアノを打楽器のように演奏しているのが面白かったとあり、改めてなるほどなぁと感じました。

その感想で「全ての楽器を打楽器のように演奏しろ。」というジェームス・ブラウンの言葉を引用されていたのも思い出しながら観ていました。

 

 

ピアノを題材にした最近の作品では、昨年公開されたピアノ調律師が主人公の『羊と鋼の森』もオススメで、小説を読んでから映画も観ましたが、映画も小説の世界観が忠実に描かれていてどちらも感動しました。

 

 

私事ですがピアノといって思い出すのは、小さい頃オルガンはあり習ってもいたけどピアノの音色にとても憧れ、ピアノを買ってと親に懇願したけど、「ピアノなんて置いたら家が潰れる。」と即却下されたことです。

一体どんな家に住んでいたのでしょうか(笑)

 

中学に入ってからはギターに憧れ、当時あった地元の楽器屋さんで一番安かったクラシックギターをお年玉で5千円で買い、教則本も買って練習して下手なりにも友達とユニットを組んで当時のフォークを歌いながら遊んでいたのが懐かしいです。

 

大人になってからは自分の稼ぎでやっと電子ピアノを買えましたが、その時付いていた楽譜に、ビートルズの Let It Be等 もあり嬉しく色々練習したのを覚えています。

電子ピアノはその後、子供達の練習用ピアノとなり、それから音が所々出なくなり処分しました。

今ではギターや鍵盤はすっかりご無沙汰ですが、どちらも時々やってみたくなります。

こういう音楽映画をみた後は特に🎵

 

つるひめでした。

 

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