つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

『僕たちは希望という名の列車に乗った』と、ベルリンが舞台の記憶に残る映画

 

6月に入ってから観た映画1本目は、有楽町ヒューマントラストシネマにて、『僕たちは希望という名の列車に乗った』を鑑賞してきた。

 

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(解説・あらすじ)

アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』などのラース・クラウメ監督が、旧東ドイツの高校生たちの実話を基に描く青春ドラマ。政治のタブーに踏み込んだ若者たちが、究極の選択を迫られる。

1956年、東ドイツの高校生テオとクルトは、列車に乗って訪問した西ベルリンの映画館で、ハンガリーの民衆蜂起のニュースを見る。クラスの中心メンバーの彼らはクラスメートに声を掛け、ハンガリー市民に哀悼の意を表し、授業中に2分間の黙とうを実施した。だがその行為は、社会主義国家への謀反と見なされる。

(yahoo!映画より抜粋)

 

舞台は1956年、ベルリンの壁建設の5年前、東西冷戦下の東ドイツ

高校のエリートコースのクラスに所属している友人同士のテオとクルトが、東ベルリンから西ベルリンへ向かう列車に乗り込むシーンから話が始まる。

このシーンでベルリンの壁が出来る前は、身分証とちゃんとした理由があれば、東西ベルリンを自由に行き来出来たんだなって事が分かった。

 

このテオとクルトの仲の良い友人同士は、ちびまるこ子のクラスでいえば、大野君と杉山君みたいなクラスの中心人物だ。

 

ハンガリーの民衆蜂起で、市民に多数の犠牲者が出たことを西側のラジオでも知った二人は学校で、クラスメート全員にその犠牲者に対して2分間の黙とうを提案し、多数決で授業開始時に決行するんだけど、あれよあれよという間に騒ぎになり、国家の反逆行為とみなされ、政府が調査に乗り込んで首謀者探しを始める過程は恐ろしく、驚いてしまった。たった2分間の黙祷なのに、実際にこんなことがあったのかと。

 

でも、何故授業中の黙祷を提案したのかが理解出来なかった。教師の反応に対するスリルも味わいたかったのか・・・。

それに、多数決の同調圧力もちょっと怖いなと感じた。

 

その黙祷提案の首謀者を追及して密告させようとする当局から来た女役人の、まだ高校生の 生徒達に対して一人一人精神的に容赦なく追い詰めるやり方は、観ているこちら側もほんと腹が立って来てなんて冷徹で嫌な女だと思った。その中でも追い詰められた生徒エリック役の俳優の真に迫った演技はじめ、テオとクルト役の若い俳優も容姿端麗であるだけでなく、演技がとても光っていた。皆ドイツ映画界期待の新鋭俳優達なのだそうだ。

 

この映画は、市長の息子であるクルトと、労働者階級一家のテオ、亡くなった軍人の父を尊敬している真面目なエリックの3組の父子関係など、家族関係もよく描かれていて、それぞれの立場の違いや、親は子の、子は親や幼い弟達を思う気持ちなどの家族の愛情、友情もひしひしと伝わって来た。

 

自分がそのクラスメイトだったら、または親だったら、どんな行動を取るのか。登場人物一人一人がもし自分だったらと思うと、とても考えさせられた。

 

重圧と苦悩の中、最後の勇気ある決断に胸が熱くなるとてもいい映画だった。

特にラストの方でのテオのお父さんの「英雄になるな」という言葉が印象に残った。

事件のことだけでなく、普通の高校生と同じく恋や友情も描かれている。

 

それにしても、登場人物達のこの後送った人生がとても気になる映画だった。

この映画のチラシにも載っていたけど、原作本「沈黙する教室」が発売するそうだ。

この本には映画以降の人生が描かれていて、40年後の同窓会での再会までが描かれているのだそうだ。定価2500円だそうなので、早速図書館にリクエストしてみよう(笑)

 

 

東ベルリン舞台の映画で思い出すのは、2006年公開の『善き人のためのソナタ』だ。

この映画ではもう少し後の時代の、国家による秘密警察の諜報活動が盛んだった東ドイツの様子がよく描かれていて、細かい内容は忘れてしまったけど、心が揺さぶられるとてもいい映画だった。映画公開の翌年辺りに、主演の俳優さんの訃報を聞きとても残念に思ったのを覚えている。

 

それから、ベルリンといえば1987年の『ベルリン天使の詩』もとても懐かしい映画。

人間世界を見守り続けた天使がサーカスの女性に惹かれる話だけど、天使を演じたブルーノ・ガンツも、今年初め頃に訃報を聞き残念に思った。

ヒトラー・最期の12日間』でもヒトラーそっくりに演じて驚いたっけ。

 

この『ベルリン天使の詩』をリメイクしたのが、ずっと後に公開されたニコラス・ケイジメグ・ライアン主演の『シティ・オブ・エンジェル』。この映画も良かったな。

 

メグ・ライアンは恋愛映画で一世風靡したけど、ニコラス・ケイジといえば、恋愛物よりも私には『フェイス・オフ』や『コーンエアー』等のアクション映画がとても印象的だった。

 

シティ・オブ・エンジェル』のエンディングの曲は、アラニス・モリセットの「Uninvited」で、この頃私はアラニス・モリセットの曲にも暫しはまっていてコンサートも行ったっけ。

 

ということで最後にこの曲を紹介して、今夜はさよなら、さよなら、さよなら♪

 

 

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