つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

Don`t worry, 世界は意外とやさしさであふれている。

 

風刺漫画家が主人公というのと出演俳優陣に興味を惹かれ、有楽町ヒューマントラストシネマへ、映画『ドント・ウォーリー』を観に行って来た。

 

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 解説

交通事故で胸から下がまひしながらも、再起した風刺漫画家ジョン・キャラハンの自伝を基にしたドラマ。ロビン・ウィリアムズが『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』公開時から映画化を構想し、当時から相談を受けていたガス・ヴァン・サント監督がウィリアムズの遺志を継いで作り上げた。キャラハンをホアキン・フェニックスが演じるほか、ジョナ・ヒルルーニー・マーラジャック・ブラックらが共演する。 

あらすじ
オレゴン州ポートランドで酒ばかり飲んでいるジョン・キャラハン(ホアキン・フェニックス)は、自動車事故に遭い四肢がまひして車椅子生活を送ることになる。キャラハンは人生に絶望し、自暴自棄になっていく。しかしあることをきっかけに、持ち前のユーモアを生かして風刺漫画を描こうとする。

(解説・あらすじは、Yahoo!映画より)

 

 

「たとえ人生最悪の困難な時であっても、人は変わることが出来る」というのが、この映画のテーマだった。

 

主人公は、母親に捨てられた孤独から、子供の頃から酒浸りの人生を送り、挙句の果て同じ酒浸りの友人が運転する自動車事故で車椅子生活になってしまうけど、断酒会に通いながらもまだアルコールを飲んでいたりする。その自暴自棄な時期を経て不自由な手で、風刺漫画家として再起して行くわけだけど、最悪な人生の連続で暗くなりがちなストーリーでも自作の風刺漫画を随所に折込み、始終明るいタッチで描かれていて、静かなエンディングの曲と共に、温かい余韻の残るいい映画だった。

 

断酒会のグループセラピーでの仲間やその主催者、車椅子生活から恋人になるアヌー、身の回りの世話をしてくれる介護士等、周りの人達にも恵まれていたんだなと思った。

そして、車椅子生活をしていく上での、排せつや性の問題まで隠すことなくユーモアを交えて描いていた。

 

このジョン・キャラハンは、世界で一番皮肉な風刺漫画家と言われていただけあって、多くのファンがいた一方、嫌悪感をむき出しにする人もいた様子も描かれている。

2010年に59歳の若さで亡くなっているそうで、監督と共にロビン・ウイリアムズの遺志を継いだ主演のホアキン・フェニックスは、キャラハンに関する書籍を読んだり、彼の人生を一変させたリハビリセンターを訪れたり、キャラハンについて可能な限りの研究をして役に臨んだそうだ。

 

ホアキン・フェニックス出演作は今まで何度か観ているけれど、最初は『グラディエイター』での典型的な悪役のイメージが付いてしまったけど、次に観た農場でのミステリーサークルを巡る謎を描いた『サイン』では、メル・ギブソン演じる主人公の優しく善良な弟役を演じていて、『グラディエイター』の役とのギャップに驚いたのを覚えている。

 

その後、ジョニー・キャッシュの自伝映画『ウォーク・ザ・ライン』で、主人公のジョニー・キャッシュを歌も吹き替え無しで演じていてこの映画はとても素晴らしかった。

今回の映画でも、ジョン・キャラハンに成り切っていて、多彩な役を演じていて凄い役者さんだなと思う。

 

ロビン・ウィリアムズが生きていたら主演していたかと思うと、主役のホアキン・フェニックスの顔もどことなくロビン・ウィリアムズに似ていて、懐かしいロビン・ウィリアムズの優しい笑顔が重なって見える場面も何度かあった。

 

恋人役のアヌーを演じたルーニー・マーラを観たのは『ローズの秘密の頁』以来だったけど、今現在実際にホアキン・フェニックスのパートナーだそうで、だからからか恋人役を自然に演じていて、前作より一段とチャーミングに見えた。どんどん美しくなるのは、やはり恋の力なのか(笑) やはり何年か前に観た、人工知能の声に恋してしまう映画『her・世界でひとつの彼女』でもこの二人は共演していたっけ。

 

同じくこの映画に酒浸りの友人役で出ているジャック・ブラックは、昔観た型破りなロック好き先生と生徒の交流を描いた映画『スクール・オブ・ロック』で主演していたのが懐かしい。これもとてもいい作品でロック好きな仲間の間で当時話題になった。

 

 

この映画の中で特に好きなシーンは、主人公が車椅子に恋人アヌーを乗せて青空の中一緒に走るシーンと、スケートボードをやっている少年達との温かい交流シーン。

そして断酒グループセラピーでの、自己の内面と葛藤しながら変化して行くシーン等も印象的だった。その中で断酒に向けての12のステップをクリアして行くのだけど、ネタばれになってしまうので詳しくは書けないけど、11と最後の12の実践シーンが感動的だった。

 

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(予告編では、ジョンレノンの曲「孤独」が使われていました)