つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

『僕たちのラストステージ』映画感想

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令和になって最初の映画は、『僕たちのラストステージ』を観て来た。

 

ハリウッドで一世を風靡したお笑いコンビ「ローレル&ハーディ」の晩年の実話を映画化したもの。

あらすじは、かつて世界中で人気のあったお笑いコンビ、ローレル&ハーディのスタン・ローレルとオリバー・ハーディは、晩年になり再び映画を作るための資金集めのため、1953年イギリスでホールツアーを開始する。

既に過去の人になっていた二人なので最初は客入りも悪かったが、ツアーを続けるうちに、かつての人気を取り戻す。

しかし、ある口論をきっかけにオリバーはコンビ解消を決意する・・・というストーリー展開だった。

 

同じ時代に活躍していたチャップリンなら学生時代から名画座で色々観て来たので、よく知っているけど、ローレル&ハーディは私は全然知らなかった。

 

日本のお笑いコンビに例えると、コント55号を彷彿とさせるような二人の風貌で、特にふくよかなオリバー・ハーディ役は愛嬌のある笑顔といい、ちょっとした動きでも笑いを誘うような、いかにもコメディアンという感じだった。スタン・ローレルの方が脚本を書いていたようで、凸凹コンビで見た目も相性がぴったりのようだった。


映画の中でも、スタン・ローレルの方は、かつてチャップリンともコンビを組んだことがあるとの台詞が出て来るけど、映画の公式サイトによるとこのローレル&ハーディは、

「1927年から1950年にかけて107本もの映画に出演。サイレント映画のスターが、トーキーに移行して成功を収めるケースは稀だったけど、ローレル&ハーディは、サイレント時代からのパントマイム的なギャグコントを続けながら、ボケとツッコミの役割分担など、これまでにないスタイルを確立して、チャップリンキートンと並んで、世界中のファンから愛され称賛され、後世に大きな影響を及ぼして、今日、二人の影響を受けていないコメディアンはほとんど存在しないと言われている」のだそうだ。

 

日本のお笑いコンビのボケとツッコミのスタイルも、昔のドリフのような芝居仕立てのコントも、このローレル&ハーディからの影響だったのか!と、初めて知った。

 

イギリスでのツアーで、ロンドンのロイヤルアルバートホールのような豪華な舞台でのステージシーンでは、バレエやオペラのように舞台下にオーケストラピットがあり、オープニングや、コントを挟んでのダンスや歌のコーナーでは、オーケストラの演奏付きでこの二人のコメディが繰り広げていたのにはびっくりだった。

 

それらのコメディシーンでは、国や時代が違うせいか、私は思ったより笑えなかったけど、観客が一々大爆笑している声を聴いていると、昔のアメリカドラマ「奥様は魔女」等で大袈裟な笑い声が度々入っているのを思い出して懐かしくなった。

 

イギリスのモンティ・パイソンという昔のお笑いユニットの番組も、ちょっと日本人には分かりづらいブラックなコメディシーンが度々あったけど、笑いのツボはそのお国柄によっても違うよな~と改めて思った。

 

なので期待していたほど大笑いは出来なかったけど、ほのぼのとしたコントシーンが満載で、何度か出て来る、二人のコミカルで軽やかなダンスシーンもとても素敵だった。

 

笑えると言うより、終盤は色々な葛藤を乗り越え、35年間共に人生を歩んで来た二人の強い絆に胸が熱くなるシーンがたくさんあり、そして文字通りのラストステージでのシーンは胸に迫り感涙だった。

 

そしてこの二人のそれぞれの奥さんのキャラがまた面白く、見た目も性格も正反対の二人で反発し合っていたけど、ラストではこの奥さん同士のジーンと来る素敵なシーンもあった。

 

最後、その後の二人のエピソードに、またもや目頭が熱くなった。

エンドロールでは実物の二人の映像が流れたのだけど、役柄の二人とよく似ていて、全然知らなかった実際のローレル&ハーディの映画も今観られるのなら観てみたいと思った。

 

チャップリンやサーカスのピエロにも通じているけど、可笑しさと悲しさは、表裏一体なところがありますよね。

 

イギリスの風景も綺麗で、心温まる作品でした♪