つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

白石一文『一億円のさようなら』読書感想

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昨年秋に新聞の書評で読んで、図書館に予約した小説。

同じ時にリクエストした本であり、忘れないうちに書き留めておこうと、このブログを始めるきっかけになった小説『大人は泣かないと思っていた』は、11月末に用意されたのに、この小説は忘れた頃の今頃になって届いた。

昨年夏に出版された小説だから、まだまだリクエスト待ち人数が多いようだ。

 

白石一文の小説は、『ほかならぬ人へ』他数冊読んだけど、それ以来10年ぶりくらいだ。福岡出身の小説家なので、福岡が舞台でサラリーマンが主人公の小説が多かったような気がする。

 

この小説表紙の内容説明は

「連れ添って20年。発覚した妻の巨額隠し資産。続々と明らかになる家族のヒミツ。
爆発事故に端を発する化学メーカーの社内抗争。俺はもう家族も会社も信じない。いまを生き抜く大人たちに贈る極上娯楽小説。」

 

主人公である52歳の加能鉄平は、妻と1男1女の4人家族。長年勤めた会社をリストラされ、家族と共に福岡にやってきた。その後父方の祖父が起こした加能産業に雇われて、将来を期待されたものの、社長である従兄弟に冷遇され左遷される。

ある時、妻が結婚前に叔母から相続していた巨額の遺産を隠し持っていたことが発覚し、子供達も親の意に反して勝手な道を歩み、誰も信じられなくなった鉄平は、妻らかもらった1億円を基に一人金沢に移り住み、新たな人生が展開していくというストーリーだった。

 

500ページ以上あるので返却期間までに読み切れるか心配だったけど、読みやすく、先が気になる話の展開でスイスイ読めた。

 

最後の最後まで先が読めない話で終わり方も良く面白かったけど、この主人公にも奥さんの夏代にも共感出来ない部分も多々あった。

 

最後担当編集者の言葉にあるように「夫婦、家族、男女、人は複数の顔を持ち、さまざまな思いを胸に秘めている」というのはよく伝わって来る。

これは私が今まで読んだこの作者の小説全てに共通しているようにも思えるけど。

ラストの方でも結婚観や夫婦についての作者の考えが反映されているような文が出て来て心に残った。

 

金沢がほとんど小説の舞台なので、読んでいると金沢での美味しいお寿司や新鮮な魚料理を食べたくなる。

金沢の天候も、冬は雪深いのかと思っていたら、雪が積もるほど降ることはほとんど無いけれど、雷と雨と風と寒さの連続とあり、雪は少なくとも厳しい冬なのだなと分かった。

 

金沢には、10年以上前まだ北陸新幹線が開通する前に姉と旅行で行った時があるけど、その時行った21世紀美術館や兼六園、その時目にした町名などが出て来て懐かしく思い出せ、読んでいるとまた行ってみたくなる。

 

それから主人公が隣の富山市内にドライブに向かうシーンでは、「富山運河」の直ぐ近くにある、「世界一美しいスタバ」として海外でも知られているらしいスタバへ行くが、是非そのスターバックスにも行ってみたくなった。

 

もし自分が一億円を自由に使えたらどうしようか、とか、夫が最初から何十億もの資産を隠し持っていたら自分はどうするか、どう思うのかとか、そんなこともちょっと考えさせられた(^^;

 

この仕事も出来、行動的過ぎる主人公とその妻は、ちょっと理解できない突飛な行動にも出る二人なので、「翔んで埼玉」をもじって「とんだ夫婦」という感じだった(笑)

 

 

東京は桜満開になり、春爛漫ですね・・・

そこで、春になると聴きたくなる、ドナ・ルイスの弾んだこの曲を最後に♪

 

 

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