つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

「家(うち)へ帰ろう」映画感想

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昨年末、最後の最後に観た映画は、このスペイン・アルゼンチン合作の「家へ帰ろう」だ。

 

写真の映画ポスターにあるように、「アルゼンチンから故郷ポーランドへ、ホロコーストから逃れた仕立屋が、約束を果たすために旅に出る。」

というロードムービーだ。

 

アルゼンチンに住む高齢の仕立屋アブラハムは、自宅を離れ老人ホームに入ることになるが、その前夜、急に思い立ち一人飛行機に乗り込む。

ポーランドにいる昔の命の恩人である友人に、仕立てたスーツを届けるためだった。

 

このちょっと三國連太郎似のアブラハムは、最初は頑固一徹で偏屈なイメージだが、旅の途中で様々な人の優しさに触れ、ユーモアもあり優しくもあるのが分かって来る。

 

最初飛行機で隣の乗客だった青年を始め、宿の女主人やドイツ人女性、看護師さんと、困難な状況のアブラハムを手助けする登場人物は、皆思いやりのあるいい人ばかりで心温まる。

特にこの3人の女性は、皆最初は容姿もただの普通の中高年女性にすぎないが、見ているうちに段々皆魅力溢れる美しい女性に見えて来る。内面の美しさが滲み出て来る感じだ。

 

アブラハムは、戦時中ホロコーストで可愛い妹をはじめ愛する家族を失っているが、その話をするときに「聞いた話ではない。この目で見て来た話しだ。」という言葉が重く心に響いて来る。

口に出したくない、ドイツという言葉も、紙に書いて指し示す。

ドイツに足を踏み入れずになんとかポーランドへ行きたいと考えるアブラハムに対して、手助けしたドイツ人女性のアイデアは・・・

その辺りでも温かい笑いが起こる。

 

ラストで、映画タイトルの「家へ帰ろう」という言葉が胸に迫り、涙が出た。

 

この映画は、シネスイッチ銀座で観たが、昨年最初に観た映画もここシネスイッチ銀座での「はじめてのおもてなし」というドイツ映画だった。

この映画は、あるドイツ人一家が難民の青年を受け入れることがきっかけで、バラバラだった家族関係が再生する、大いに笑って泣けるとてもいい映画だった。

 

この映画館は、ヨーロッパ系のハートウォーミングな作品が多く、何年も前からよく見に行っているが、高齢者の人生応援的作品も多いので、観客も他のシネコンなどに比べ年齢層が高いようだ。

 

昨年秋にここで観た「輝ける人生」も、浮気夫と離婚した中高年女性の人生が生き生きと輝きだす人生賛歌という感じで面白かったが、その作品と同じく、この「家に帰ろう」も、若く美しい女優さんやイケメン俳優は登場しませんです('◇')ゞ