つるひめの日記

読書、映画、音楽、所属バンド等について日々の覚え書き。

読書感想「日日是好日」ーお茶が教えてくれた15のしあわせー

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著者、森下典子さんが25年間お茶を通して体験したことを書いた小説。

20歳から茶道を始め、人生の紆余曲折を経てお茶と共に成長していくお話。

最初に小説に登場する、目にも美しい和菓子の数々やお茶の道具、掛け軸などが写真入りで説明されているので分かりやすい。

日日是好日」とは、「天気のいい日も雨の日も、全ていい日」という意味だそう。

私自身、茶道は若かりし頃、母親にうるさく言われほんのたしなみ程度にしか習った経験がないが、読み進めるうちに、茶道はお点前や行儀作法だけではなく、人生哲学にも通じる奥が深いものなのだと感銘を受けた。

まえがきの文章から、目次に連なるこれらの言葉も心に響いて来る。

頭で考えようとしないこと。五感で自然とつながること。今、ここにいること。このままでよい、ということ。雨の日は雨を聴くこと。長い目で、今を生きること。等々。

「私達はいつも過去を悔んだり、まだ来ていない未来を思い悩んでいる。過去や未来を思う限り、安心して生きていくことは出来ない。道は一つしかない。今を味わうことだ。過去も未来もなく、ただこの一瞬に没頭出来た時、人間は自分がさえぎるもののない、自由の中で生きていることに気づくのだ。」

これは、瞑想や座禅にも通じる言葉だな。

「どんな日も、その日を思う存分味わう。お茶とはそういう生き方なのだ。」

こんな言葉も心に響いた。

「学校もお茶も、目指しているのは人の成長だ。けど、一つ大きく違う。

それは、学校はいつも『他人』と比べ、お茶は『昨日までの自分』と比べることだった。」

こんな奥が深いものだったら、私ももっと続ければ良かったと、今更ながら後悔。

まえがきに、作者が観る度に自分の中で深くなっていったという映画、フェリーニ監督の「道」が出てくる。「道」の主題曲は、高橋大輔がオリンピックで見事銅メダルを獲得した時に使っていたのが印象に残り、その後テレビ放映された時に観てみたが、ただ物悲しい映画との印象しか受けなかったような。

作者が観る度に別のものになっていったという「道」をもう一度見てみたいと思った。

今公開されている「日日是好日」の映画版も終わらないうちに見に行きたいな。

今年惜しくもお亡くなりになった、樹木希林さんは、昔から大好きな女優さんなので。