新聞の書評を見て、図書館にリクエストした小説。
青年、時田翼を巡る連載短編集。心に残る台詞が多く、いつまでも余韻の残るとてもいい小説だった。読んだ後、ゆずシロップを作ってみたくなります♪
心に残った台詞・・・
時田翼のガールフレンド、小柳レモンに対するその義父の言葉
「生きていくのは大事業だよ。その事業が継続出来るなら、(家族は)どんな編成だっていいんだよ。お母さんが三人いたって、夫婦二人だけだって、子供が二十人いたって、全員に血の繋がりがなくたって、うまくいっているならいいと思うんだよ。もちろん一人だってさ。」
夫と離婚した翼の母親の言葉
「何もかも上手くいく場所などどこにもない。どの場所で咲くことを選んでも、良いこと悪いことの総量は同じなのかも知れない。生まれてから死ぬまでの時間で均してみれば。」
その母親の友人の言葉
「でも過去があっての今の私だからどうせ頭使うなら、あの時こうしてたらどうなったかな、なんて事じゃなくて今いるこの場所をどうやったらもっと楽しくするかって、ことを考えたいのよね。」
そしてラストの方での時田翼の言葉
「でも遠くばかり見ないように、と今は思う。遠くを見過ぎて、目の前にあることをないがしろにしないように。
来年や将来を見据えて駒を進めるように生きていても、予想外のことは必ず起こる。俺たちはたぶん目の前に現れるものに一つずつ対処しながら、一歩踏み出す方向を決めるしかないのだろう。いちち悩んだり、まごついたりしながら。」